「悩みたくて悩んでいる」と、能動的に考えてみる
視点を変えてみる、という方法とともに、もう一つ試してみていただきたいのが、心の持ちようをまるっきり反転させてみることです。
いつまでも悩みが心を占領してしまうようなとき、心がとても「受動的」になってしまうことがあります。嫌だと思いながらも受け身でしかいられないと、自分が自分以外の何かにコントロールされているように感じ、「やらされている感」ばかりが強くなってしまうものです。
やりたくないのにやらされている、こんな受動的な気持ちが高まったときは、思い切って「能動的」な気持ちにひっくり返してみるのもお薦めです。例えば、「ある出来事に悩まされている」場合には、「悩まされているのではなくて、自分は悩みたくて悩んでいるんだ」と考えるのです。悩むことが悪いわけではありません。「悩むこと」を苦しみであると考えるから、苦しみになるわけです。ポイントは「苦しみから解放されること」であって、「悩みがなくなること」ではないのです。
「悩みがちな人」は、往々にして自分自身でも「悩んでばかりいる自分って、イヤだな」と自分にダメ出しをして嫌いになっていたりもします。ですからむしろ、悩みがちな人ほど、思う存分、考え抜いてみるのも一つの方法ではないかと思います。悩むことがダメなのではなく、考えるな、悩むからダメなんだ、と「否定する心」がその人を苦しめているのです。
悩むことはいいことでも悪いことでもなく、「悩むことがダメ」という自分がいるから苦しい。だから、思い切って「私ってけっこう、悩むのが好きなの。悩むのが好きで、考えるの大好きなんだよね!」と明るく言ってみるのもいいでしょう。自分は悩みたがりなのだ、とある種の開き直りをすることで、あなたの心が自ら、主導権を握ることができるのです。
現実を否定して拒絶するのではなく、それを認めて受け入れることで、新しい自分の生かし方が見えてくるかもしれません。そうした「自分らしさ」を磨いていけば、自分らしい輝き方で、周囲を照らすことができるのではないかと思います。
「悩みたくて悩んでいる」と考え主導権を自分に
悩みの深みにはまると、「私は従わされている」「やらされている」という受動思考にはまりがち。思い切って「私は自分で選んで、悩んでいるんだ。考えるのも大好きなんだ!」と能動思考に180度切り替えてみると、目の前の景色がパッと変わり、やるべき対策法が見えてくることがあります。何事も、自らが主導権を握ることによって力がわいてくるものです。
心理カウンセラー僧侶

取材・文/柳本 操 写真/PIXTA