女性の約6割はPMSを経験している
PMSは「毎月ある」「たまにある」を含めると、約6割の女性が経験。更年期症状については半数以上が「つらかった」と回答(下データ)。いずれも女性にとっては身近な症状だ。
なぜこんな不調が起こるのか。近畿大学東洋医学研究所の武田卓教授は、「ホルモンが上がったり下がったりする、その変動に弱い人が症状を覚えやすい」と話す。いわば女性ホルモンの「波」による揺さぶり。PMSが月経前にやって来る「毎月の波」だとすれば、更年期症状は人生のある期間に集中して押し寄せる「一生の波」ともいえる。
もっとも、両者には明確な違いがある。「PMSは女性ホルモンが正常に働いているからこそ起こる。きちんと排卵している証拠でもある」と東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子准教授。かたや、更年期症状は女性ホルモンが減少する時期に起こる(下データ)。
一般的にPMSは20代〜40代前半にかけて起こり、40代後半ごろから更年期症状が出てくる。気になるのはその関係。PMSがある人は更年期症状も出やすいのか。「海外では両者には関係があるとの報告が多い」と小川准教授。実際、PMSがある人はない人に比べ、更年期にホットフラッシュや抑うつなどの症状が出るリスクが高いという研究結果も(下データ)。
揺らぎに弱い人は気をつけておいたほうがよさそうだ。次回以降で対策などを詳しく紹介しよう。
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近畿大学東洋医学研究所 所長・教授

東京歯科大学 市川総合病院産婦人科 准教授

取材・文/佐田節子 構成/黒住紗織(日経BP総研) イメージ写真/PIXTA