心のコップが満タンになると怒りの感情としてあふれる
怒りの矛先は親しい人に向きやすく、会社なら直属の部下、家庭では子どもに集中しやすい。会社でのイライラを家庭で子どもにぶつけるというパターンも少なくない。
安藤さんは「怒りには社会をいい方向へ変える力もあるが、人格や能力の否定につながり、人間関係を壊すこともある」と話し、注意したい怒りに次の4つを挙げる。
・一度怒ると必要以上に強く怒ってしまう「強度の高い怒り」
・過去の出来事を根に持って怒る「持続性のある怒り」
・イラッとすることが多い「頻度の高い怒り」
・人・モノにあたったり、自分を責めたりする「攻撃性のある怒り」
怒りすぎに悩む人は、怒ることと怒らなくていいことの区別がつかず、怒る必要のない場面で怒っている可能性も高い。後味が悪く、怒ったことを後悔するような怒りは、不要な怒りとして排除していきたい。
「心身のコンディションが悪いと怒りが増幅する」と高野院長。疲労、多忙、空腹などコンディションを悪くする要因はさまざまだが、特に顕著なのは睡眠不足。「脳の、理性を司る前頭葉より、怒りに関連する扁桃体の働きが活発になるため、いつもなら許せることでも、怒りを感じやすくなる」と安藤さん。アルコールの摂取でも、前頭葉の働きが抑制され、怒りっぽくなる。日ごろから生活習慣を整えることも怒りを減らすコツといえる。
・疲れている
・睡眠不足
・多忙
・アルコールを摂取している
・温度が不快
・騒音の中にいる
次回は、怒りの具体的なコントロール方法を紹介します。
神田東クリニック院長

日本アンガ-マネジメント協会 代表理事

取材・文/海老根祐子 構成/羽田 光(日経DUAL編集部) 写真/PIXTA