細菌性膀胱炎の完治に「トイレ日誌」を役立てる
細菌性膀胱炎の完治のためには、細菌が繁殖しやすい生活習慣を改善することだ。特に頻繁に繰り返す人は、原因を知ることから始めたい。「毎回同じことが原因になっているケースが多いので、トイレ日誌をつけてみて」と巴教授。
日誌には、排尿時間のほか、排便があった日、月経周期、性交日などを記入し、症状を自覚した日に印をつける。「記録すると月経が終わった直後になりやすいとか、便秘が続くとなりやすいなど、自分のパターンが見つかる」と巴教授。
「膀胱炎かな?」と感じたら、まず水分をたっぷりとってどんどん排尿し、病院で治療を受けよう。泌尿器科のほか、内科や婦人科でも診てもらえる。
病院では、尿中の細菌の有無を調べる検尿を行う。「検査結果が出るまでに数日かかるので、初診当日は、まず大腸菌に効くニューキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシン(商品名「クラビット」など)を処方されるのが一般的。通常、3〜4日の服用で完治する。1〜2日で症状が消える人も多いが、自己判断で服用を止めないこと。膀胱には細菌が残っていて症状が再燃することも。中途半端な抗菌薬の服用も、膀胱炎を繰り返す一因に。処方された薬はのみ切ることが大切」と巴教授。
最近はレボフロキサシンの耐性菌が増えている傾向があるそう。そのために症状が長引くケースも増加中。膀胱炎をくり返す人ほど耐性菌の可能性が高いので、原因菌を特定するために、初診時に尿培養をしてもらうと、より安心だ。
なお、正しく検尿の診断を受けるためには、「症状がつらくても、受診前に自己判断で前回ののみ残しの抗菌薬をのまないでほしい。原因菌の検出の妨げになる」と巴教授。また、検尿時は正確な検査結果を出すため、最初や最後でなく中間の尿の採取を心がけて。
夜間にトイレに起きる「急な尿意で間に合わない」
膀胱炎と似た症状の病気に過活動膀胱がある。膀胱にさほど尿がたまっていなくても急に尿意を催す「尿意切迫感」、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」が見られる。
過活動膀胱は40代以降の発症が多い。神経障害など原因が明らかな場合もあるが、大多数は原因不明の突発性という。
「女性の場合、くしゃみなどでお腹に力が入ると尿が漏れる腹圧性尿失禁を併発することも。いずれにせよ、尿漏れによる気分の落ち込みなどQOLの低下は深刻」と嘉村部長。
カフェインの摂取を控えるなど食生活の改善、尿意のコントロール法などを試し、それで改善しない場合、薬で治療する。
□ 急に行きたくなってたまらない
□ 夜にトイレに行きたくなる
□ トイレに間に合わず漏らしてしまう