「私」が主語のいい方なら支配欲が表れにくい
では、アドバイスするのはやめたほうがいい? いいえ、それはぜひ続けましょう。いい方法があります。それは、この連載で以前にもお伝えした「I(アイ)メッセージ」。「I」=「私」を主語にする方法です。
相手にアドバイスをするとき、「You」(あなた)を主語にすると、「あなたはこうすべきだ」といった支配的な表現になりがちです。一方、I(私)を主語にすると、「こうするのがいいと私は思う」となり、支配的な感じが薄れるので、相手は聞く耳を持ちやすくなります。あなたにとっても、「あくまでも自分の意見を伝えているだけ」というスタンスになりますから、「相手が変わるべきだ」という支配欲の落とし穴にはまりにくくなるのです。
無論、こんなふうにいっても、相手はあなたのアドバイスを聞かないかもしれません。それは仕方がないこと。聞くかどうかを決めるのは相手であり、あなたではありません。それを「仕方がない」と受け入れるのも、支配欲から逃れるために必要なことです。
Lesson2 伝えたいことを「I(アイ)メッセージ」で表現してみよう
「I」(私)を主語にして、「私はこう思う」「こうしてくれると私はうれしい」などと伝えると、支配欲の落とし穴にはまりにくい。相手もアドバイスを受け入れやすくなる。
星 一郎(ほし いちろう)
心理セラピスト
心理セラピスト

取材・文/北村昌陽 構成/平野亜矢(日経クロストレンド編集) 写真/PIXTA