一時的な聞こえの悪さは耳を休めて治す
耳の病気以外でも、難聴を招くことがある。その一因が騒音だ。「気をつけたいのが10〜20代で急増中の『スマホ難聴』ともいわれるイヤホンなどの多用による難聴」と中川教授。
「電車内の騒音は70〜95デシベルで、その中で音楽を聴く場合、音量が95デシベル以上になっていることも。85デシベル以上は人の耳には危険な音量といわれる。加齢による聴力の低下を早める原因になる」(中川教授)。
ドライヤーやサイクロン式掃除機など家電製品の中にも、85デシベル以上の音を出すものがあり注意が必要だ。
騒音による聴力の低下には、内耳の蝸牛にある「有毛細胞」が関係している。150万本ほどが整列している、この細胞の「毛」が音の聞こえに重要な役割を担っているが、騒音でダメージを受けやすく、抜け落ちてしまうのだ。
「しかし、48時間で毛は再生するため、一時的に聞こえが悪くなっても2日間耳を休ませれば聴力は回復する。騒音による難聴を防ぐには、1週間のうち、せめて土日は大きな音を聞かないようにしたい。また、イヤホンで音楽を聴くなら1日1時間以内に。電車の中では聴かない。音の大きな家電製品を使うときには、耳栓を」と中川教授。
石井正則
JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長
JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長

中川雅文
国際医療福祉大学病院 耳鼻咽喉科教授
国際医療福祉大学病院 耳鼻咽喉科教授

取材・文/海老根祐子 イラスト/sino イメージ写真/PIXTA 構成/羽田 光(日経DUAL編集部)