仕事の苦しみ、身近な人の死の悲しみから救うものは?

 私たちは仕事の人間関係や評価が世界の中心のような思考に陥りがちですが、趣味があれば、仕事は世界のほんの一部でしかないことに気付けます。趣味があれば、仕事のことを忘れることが簡単になります。休日もずっと仕事のことを思い煩っているよりも、建設的な思考が持てるのではないでしょうか。気晴らしになるものを持つことで、1つのことに過度に振り回されずに済むのです。

 さらにラッセルは、誰か近しい人が亡くなったときにも、趣味があれば救われるとまで言っています。悲しみにただ打ちひしがれていたら、そこから抜け出せません。避けて通れない運命は誰にも訪れます。悲しみから日常に戻るために力を尽くすべきであり、そのためにも趣味は大切だというのです。

 ラッセルが語る幸福の秘訣は、「あなたの興味をできる限り幅広くせよ。そして、あなたの興味を引く人や物に対する反応を、敵意あるものではなく、できる限り友好的なものにせよ」なのです。

本紹介
もっとラッセル!
『まんがでわかるラッセルの『幸福論』の読み方』(宝島社)
小川仁志(監修)、前山三都里(イラスト)

大型書店の書店員・史織が仕事とプライベートで悩みつつ、ラッセルを通して「不幸の原因」について理解し「幸福をもたらすもの」とは何かを探し見つけていく。自分のことばかり考える思考から脱し、ハッピーになるラッセルの哲学を漫画で読み解く1冊。

取材・文/中城邦子 写真/洞澤佐智子 イラスト/鈴木衣津子