「それで商売なんてできるわけない」という周囲の批判
馬場 創業した当時は、回りから「それで商売なんてできるわけない」と批判されましたけど、私はシングルマザーなので、子どもたちとの生活のほうが大事だった。だから、そこは譲れないと思って続けてきたんです。
確かに週4日の営業だと売り上げは上がらないかもしれないけれども、制服は毎日買う商品ではないので、「その日しか開いてないから開いてる日に行こう」と思ってもらえるように、お客さまの行動や思考を変えていきました。自分で起業しているから、周りに何かを言われても自分のやり方でコツコツやればいい。そうしているうちに、だんだん子育て中の女性が働きやすい事業だと講演などに呼ばれるようになっていきました。子どもと一緒にいる時間もつくりながら仕事もできるというさくらやのスタイルが確立できて、よかったなと思っています。
店が地域の交流の場になった
―― 自分の店だけではなく、全国にパートナー店を広げていったのはなぜですか?
馬場 最初は全国に広げようなんて全く思っていなかったです。でも、新聞やローカルテレビなどを見たお母さんから「自分もやってみたい」と問い合わせが来るようになった。創業2年目の頃ですね。そこから考えるようになりました。
この店なら子どもがいてもできるし、子どももお母さんが働いている姿を見て、応援できる。制服のお名前刺繍(ししゅう)を取る作業を地元のおばあちゃんたちにお願いしたり、長女のいる障害者作業所に洗濯のお仕事を依頼したりと、地域の人と交流しながら愛されるお店になっていたので、これが全国にポツポツとあると、大事なコミュニケーションの「場」になるなと思い始めたんです。
―― 売り上げに応じてロイヤルティーを得るフランチャイズ制ではなく、パートナー制度という会員制にしたのはなぜですか?