老後シミュレーションのカギは「ねんきん定期便」にあり

 不安から脱出するためには「自分の場合を考えること」にしか答えがありません。そのために把握するのは「お金がいくら入ってきて、いくら出ていくか」ということです。老後の収入といえば年金。「ねんきん定期便」をチェックするのが第一歩です。

 「ねんきん定期便」とは、毎年誕生月に国から届くお知らせです。通常は、はがきに、年金加入期間、加入実績に応じた年金額、これまでの保険料納付額などが記載されており、50代になると年金見込額も記載されます。35歳、45歳、59歳時には、より詳しいものが封書で届きます。

 「ねんきんネット」では、過去の年金記録の確認、将来の年金見込額の試算などができます。ただし、ねんきん定期便に記載されたアクセスキーには3カ月の有効期間があり、興味が湧いたときにすぐに確認できる人が少ないのが実情です。

 そこで私は、老後に必要な貯蓄額を把握したい人に向けて、「あんしん老後の貯蓄計画」という無料の老後資金計算アプリを作っています(iOSのみ)。年金額はアプリ内の例に従った概算でも入力できますが、自分の金額が分かると、なお把握がしやすくなります。

 ねんきんネットや労組資金の計算では、真面目な人ほど手が止まってしまう傾向にあります。「ちゃんと書かなければ」「間違ったらいけない」と思うと、先に進めなくなってしまうようですが、もともとシミュレーションなのですから「1カ月15万円で生きられるだろうか」「18万円だったらどうだろう」といろいろな数字を入れて、まずは想像でいいので始めてみましょう。

 「でも、公的年金って将来分からないですよね」と心配する人もいます。