ショーペンハウアーの哲学の前提は「人生は苦しいもの」
―― どうやって出合ったのですか?
森 誰かにいただいて家にあったんです。そのときもたまたま本棚を見ていたら目に飛び込んできて、最初は「ショーペンハウアーってなんだ?」という感じでした。しかも本を開いてみたら難解でとても読破する気になれなかった。今だってショーペンハウアーの哲学について述べよと言われたら困ってしまうんですよ。ただ当時、アトランダムに開いたページに記されていた一文に心を奪われて。
―― 何という本の、どのような一文だったのですか?
森 本のタイトルは覚えていません。それに文章そのものを記憶しているわけではないんです。ただ、この作者は「人生は苦しいものだ」という前提で人生哲学を説いているのだなと感じ取っていました。それが人生を楽観的にとらえることができずにいた私の心にフィットしたのかもしれないけれど、よく分かりません。とにかくショーペンハウアーという哲学者の名前は私の中にしっかりと刻まれ、その後も何冊か手に取ってきました。気になる箇所にはラインを引きながら理解できるまで幾度も読み返し、自分の心に浸透させていくのが私の読書スタイル。だから一冊読むのに何日もかかってしまうんですよ。
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⇒森進一 フロイトに学んだ父の本分、息子との向き合い方
取材・文/丸山あかね 構成/市川礼子(日経xwoman ARIA) 写真/洞澤佐智子
森進一
