万病の元、歯周病菌は全身の健康をおびやかす
真織 歯周病菌にまで効果があるなんて、すごいですね。歯周病菌って大変な病気にもつながると聞いたことがあります。とても怖い悪玉菌なんですよね?
坂本 はい。歯周病菌の代表的なものに「ジンジバリス菌」という悪玉菌がいて、これは口内で育ち、体全体の健康にも悪さをする悪玉菌のボス的存在です。歯茎が赤いのは、血管組織だからなんです。歯茎に密集している血管の出血部分から歯周病菌が血管内に入り込むと、血液に乗って全身に周ってしまいます。
心臓に入れば狭心症や心臓疾患の原因になるし、歯周病菌の毒素で関節に炎症が起こると関節リウマチを発症します。65歳以上の誤嚥性肺炎の大半は歯周病菌によるものというデータもあるんですよ。
生活習慣の乱れによる肥満が下流に行くほど重い疾患を引き起こすことを「メタボリックドミノ」と言いますが、その最上流にあるのが、虫歯や歯周病菌なんです。
実は、歯周病の人は歯と歯茎のすき間の歯周ポケットから、1日におちょこ1杯くらいの血が出ているんですよ。歯周病菌は、歯茎から出る血液をエサにどんどん増殖します。そしてまわりの炎症を活性化してしまうんですね。歯周病だと骨粗しょう症も重症化するなど、ほかの病気を悪化させる可能性もあります。
歯周病菌が直接的に肺炎を発症させることが分かっている。
●関節リウマチ
歯周病菌の毒素により間接に炎症が起こる。
●腎炎
歯周炎によって作り出された炎症物質が血液に入り込み、糸球体腎炎が起こる。
●ウイルス感染
風邪、インフルエンザウイルスなどの感染は、ウイルスと口腔内の悪玉菌の相互作用によって感染力が高まる。
真織 歯周病は全身の病気を引き起こす本当に怖い病気なんですね。
坂本 逆に考えると、歯周病を防げば全身の病気の予防になるわけです。だからこそ、歯磨きなど日ごろからのケアはしっかりしていきたいですよね。

世界的な研究機関での200件近い論文など、エビデンスも豊富

坂本 ロイテリ菌は、1990年代からノーベル生理学・医学賞選定機関でもあるスウェーデンのカロリンスカ医科大学が長年にわたって研究を重ねていて、これまでに科学論文180件、博士論文14件、被験者数1万7200人と圧倒的なエビデンスがあります。こんなにたくさんのエビデンスがある乳酸菌は、ほかにはありません。
例えば、歯周病患者19人にロイテリ菌入りのタブレットを投与したところ、30日後に歯周病症状のある箇所が47%減少したという実験結果があります。これには驚きましたね。数字そのものもすごいけれど、すでに症状のある人でもロイテリ菌でこれだけ改善するなんて。
さらに、ロイテリ菌は胃酸や消化酵素にも耐性があるから、生きたまま腸まで届き、腸内フローラも改善します。





真織 うわー、すごい! つまり万能な菌ってことですね。口から胃、そして腸でも活躍できるロイテリ菌は、ストレスや健康不安の多い社会で、きっと健康を守る力強い応援団になってくれますね。
