一歩踏み出すために、ニセモノに騙されることも大事
河合 残念ながら、世の中はニセモノに満ち溢れています。フェイクニュース、フェイクセルフ、フェイクストーリー……。だから、わざわざ自分を探すために高額なセミナーや講座に通うのは、やめた方がいいですよ(笑)。
ただね、矛盾するようですが、一度はニセモノに騙されることも大事だったりする。騙されるということは「一歩踏み出している」ことだから。賢い人は動かないから騙されない。
―― 何事も、「対岸の火事」だと傍観しているような?
河合 火事とも思わないんじゃないかな。「あの火は本物じゃないでしょう」とか言って、自分は動かない。ニセモノだとわかっていても、「わ~」と心が動くから人生は面白いのであって。その意味でも、世の中がいまどうなっているかを自覚することは、とても大事なことだと思います。
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⇒河合俊雄 いまどきの「中年クライシス」と夫婦の危機
取材・文/砂塚美穂 撮影/小林禎弘
河合俊雄
臨床心理学者 京都大学こころの未来研究センター センター長
臨床心理学者 京都大学こころの未来研究センター センター長
