人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。『ミュージック・ライフ』の編集長を務め、「最もクイーンに近い編集者」として名をはせた音楽評論家の東郷かおる子さん。時代の流れと自らの感覚のずれを感じて、42歳のときに辞表を提出。フリーのライター、音楽評論家として活動を続けます。駆け抜けた音楽人生を支えたのは、ときめきを常に忘れないミーハー魂でした。
(1)クイーンに最も近い編集者、ロックに憧れた駆け出しの頃
(2)日本で火が付いたクイーン人気、世界へ 東郷かおる子
(3)ロックとともに駆け抜けた日々、ツキを呼んだミーハー魂 ←今回はココ

洋楽ロックは、1970年代後半から80年代にかけて黄金期を迎えました。クイーンやエアロスミスなどがスターになり、ボン・ジョヴィやガンズ・アンド・ローゼズといった新しいバンドも次々に登場。81年にアメリカでMTVが誕生すると、日本のケーブルテレビでもミュージシャンの動画を見ることができるようになりました。同時に、マイケル・ジャクソンやマドンナらが革新的なミュージックビデオを発表し、ポップスターとしてヒットを連発。音楽メディアはCDが中心となり、スポンサーが付く冠コンサートが増えるなど、音楽業界はとても活気がありました。そして、私が編集長を務めていた『ミュージック・ライフ(以下ML)』などの音楽雑誌もよく売れました。「会社を辞めようかな」と考え始めたのはその頃です。