人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。「断捨離」の提唱者、やましたひでこさんの第3回。断捨離は大ブームとなり、次々に新しい扉が開いていきました。昔の器の利用や町家の再生に取り組み、「物や人の気持ち、生きる力を蘇らせる」ことが、断捨離の次の目標と語ります。
(1)55歳で断捨離が開いた人生
(2)「いい嫁」のストレスが爆発
(3)「蘇らせること」が次の目標 ←今回はココ

一昨年、セミリタイアした夫と、石川県から沖縄県に移住しました。今は仕事場のある東京を拠点に、年に数回、沖縄で生活しています。
結婚して40年。子どもも独立して、今は夫婦2人。お互いに干渉しない生活です。夫は私を徹底的に見守ってくれる人。前向きに諦めているともいえますが(笑)、彼は、私が断捨離で試行錯誤していた時期にも辛抱強く見守っていてくれました。会うのは年に数回ですが、高校時代にきつい部活動を共にした同志みたいな感じで、久々に会うと懐かしさを覚えます。
私の仕事や生活は、55歳で上梓した初めての著書がベストセラーになって以来、一変しました。雑誌の取材や連載、講演依頼をはじめ、大手企業の社員研修でオフィスの断捨離についてレクチャーする機会も増えました。出版のオファーもたくさんいただき、「断捨離」は、2010年の「新語・流行語大賞」にノミネートされました。断捨離が多くの方に受け入れられたことはうれしい一方で、それは特別驚くことではありませんでした。私にとって断捨離は日常のことでしたし、断捨離が日常を、そして世界を変えるものだとずっと信じていましたから。