人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。音楽、演技、バラエティーと多才に活動を続けるタレント、YOUさんの第2回です。初めて出演したラジオ番組の生放送で、苦しい期間を経験したYOUさん。がむしゃらに飛び込んで受け入れられてからは、現場の仕事の魅力に夢中になります。プライベートでは、興味がなかった「女子としてのリアルライフ」が30代になって現実の暮らしに。
(1)普通の「お嬢」がサブカルに衝撃
(2)恐怖体験を抜けて得た仕事の楽しさ ←今回はココ
(3)仕事も子育ても、コントと思えばOK

バブルだしバンドブームだし。泉谷(しげる)さんと音楽番組やったりしてて。それを観た放送作家の倉本(美津留)さんに呼ばれたところから、私はなぜか大阪方面にどっと傾いていくことになる。
毎週木曜日の『ヤングタウン』っていうラジオ番組。ダウンタウンさんは、東京でも、もう勢いって感じでとんでもないことになっていたけれど、当時、『夢で逢えたら』って番組で音楽やるコーナーがあって、そこでお会いしたりもしてたし、「ぜひー!」みたいな感じで、うっかり引き受けちゃって。本番前のことなんか、もう記憶がぶっとんで覚えていないけれど、とりあえず生放送は始まってしまった。
ラジオ番組に初出演中、さーっと流れた冷たい時間
夜の10時。「こんばんはー」みたいに。もちろん、ダウンタウンさんがお二人でトーク。で、12時までの生放送なわけで。で、私、初出演なわけで。ところが、5分たっても8分たっても、10分たっても、ずーーーーっとお二人で、関西弁で、吉本な感じの、地元な感じの、半分以上外国語みたいな感じで、ずーーーーっと、お話ししてるわけで。なんとも居心地がよくないという。
東京の、いい感じに大切にされて育ってきたみたいな、目的意識もない、ただ人に誘われてバンドデビューしちゃったみたいな、倉本さんに来いって言われたから来たみたいな、そんな24歳くらいの私には、とうてい居心地が悪い。で、何を間違ったか、それでもテニスで培ったみたいな安いタイミングで、「あのー、自己紹介してもいいですかぁ?」なんてやってしまったわけで。しばらく、っていうか、0コンマ何秒くらいの、とっても冷たい時間がさーって、瞬間流れた後に、「……したらええやん」って。浜田(雅功)さんが。
あの時かな、生まれて初めて、なんていうのかな、死にたくなったの。わはははは。けど、なんだろ、自分でも無意識みたいな場所から、これまたトンチンカンに湧いてきて、勇気。挨拶して。なんて言ったか記憶ないけど。