人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、ARIA読者にお届けします。ポピンズ代表取締役会長 中村紀子さんの2回目。保育・介護事業のリーディングカンパニーであるポピンズは、「女性管理職を増やしたい」という中村さんの思いからスタートしました。
(1)夫の会社倒産でアナウンサー復帰
(2)保育の岩盤規制改革に挑戦し続けた ←今回はココ
(3)猛烈ワンマンだった私に社員は反発
ポピンズ代表取締役会長

フリーアナウンサーとして経営者が集う勉強会の司会を務めていた1980年代、「働く女性にもこんな場があったら」と感じたことがあります。その頃、女性の管理職はわずかで、いわゆるキャリアウーマンの友人に会うと、常に会社や上司への不満が噴出。女性管理職を増やすには、女性自身の意識改革も必要。そのために、キャリア形成や自己啓発を支援し、意見交換できる場の必要性を感じたのです。
私は新聞で知った女性管理職50人に直接お会いし、働く女性を支援する会をつくりたいと協力を仰ぎました。そのなかで知った、アメリカの女性管理職のネットワーク組織であるNAFEを参考に、JAFE(日本女性エグゼクティブ協会)を立ち上げました。ちょうど男女雇用機会均等法が成立した年で、企業や官庁の管理職の女性約300人が集結。私は代表として毎月政財界のトップの人たちを講師に迎え、勉強会を開催。JAFEの活動は現在も続いています。
発足当初、子育て中の会員はほんの一握りでした。女性の退職理由は結婚・出産が一般的だった当時、働き続けているのは、いわゆる“バリキャリ女性”。女性は結婚や出産を諦めないと管理職にはなりにくい状況がありました。
働くママたちの多くは、子どもを両親やベビーシッターに託していました。仕事と子育ての両立が彼女たちを悩ませていることを会員への意識調査で知ったとき、違和感を覚えました。就業継続が女性の活躍や女性管理職の誕生につながるけれど、仕事と子育ての両立がキャリアアップの壁となっているのなら、保育環境を整えることが先なのではないか、と。