人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。自身のコスメブランドを展開し、美の専門家として活躍を続ける君島十和子さん。メイクに憧れ、宝塚の舞台に心奪われた少女時代。雑誌モデル、キャンペーンガールから予想もしていなかった芸能界へ。舞台の稽古に打ち込みながら少しずつ自信を得て、「ずっと仕事を続けていきたい」という思いが芽生えます。
(1)母の口紅で目覚めた美への憧れ
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(2)運命の結婚、逆境が生んだ化粧品
(3)美容は「天職」、常に全力で臨む
美容家・FTCクリエイティブディレクター

18歳で芸能界入りし、29歳で結婚、39歳で化粧品ブランド「FTC(フェリーチェ トワコ コスメ)」を立ち上げました。現在は、クリエイティブディレクターとして商品企画からPR、販売までを専門スタッフとともに担当しています。
美容に興味を持った原体験は、母です。私が幼い頃は、食品添加物が健康にもたらす悪影響が取り沙汰された時代。化学的なものに不信感を抱いた母は、添加物が不安だからと市販のお菓子も買わず、メイクもせず、いつもすっぴんでした。そんな母があるとき、頂き物の口紅を付けたんです。ぱっと華やかな顔になった母が本当にきれいで、中学生だった私に、美容の力が強烈に印象づけられました。
私は幼稚園から女子の一貫校に通っていて、友人は、自我が芽生える前から一緒の女子ばかり。中学生になっても自分の見た目を意識することはさほどなかったのですが、化粧をしてきれいになった母に感動して以来、お小遣いで口紅やアイシャドウを買い、お休みの日にメイクを楽しむようになりました。