心と体、食、社会課題に関わり続けてきた作家、落合恵子さん。人生後半戦に向けて揺れ動くARIA世代に伝えたいことがたくさんあるといいます。「あなた」を生きるのはあなた以外にいない――そんなメッセージを込めて、暮らしと仕事、家族、社会の今を通して「忘れてほしくないこと」を届けます。
5月になって2日目の土曜日。
悔しいほどの、快晴である。
わたしの小さな庭にはいま、丈の高いほうからいくと、藍色と白とピンクの矢車菊と、白と淡いピンクのアグロステンマが咲いている。
ヨーロッパで「麦畑の雑草」と呼ばれているアグロステンマが初夏の庭の定番になってから、すでに6年。去年のゴールデンウイークにも花盛りだった。が、それを分かち合う人がいない。
同世代の友達はみな、感染拡大防止のための自粛である。にもかかわらず、空は青く、光はまぶしい。なんだか悲しいほどにいい天気だ。

「STAY HOME」はさらに延長された。
想定内ではあるのだけれど、気分はやはり重たい。
自粛といっても、自ら進んで歓迎して、という人はいないだろう。多くは、受け入れざるを得ない心境にまで追い詰められていた。これ以上の感染拡大に歯止めをかけるために。
なんとかコロナ禍に終止符を打ちたいと、緊急事態宣言を、そして自粛を受け入れた。