1982年から12年間続いた雑誌「りぼん」のロングヒット連載で、テレビアニメ化もされた『ときめきトゥナイト』。シリーズ累計発行部数は3000万部超、吸血鬼と狼(おおかみ)女を両親に持つ魔界の女の子・江藤蘭世を初代ヒロインに、蘭世が一途に思い続ける人間の同級生・真壁俊(のちに魔界人に転生)との恋などを描いたファンタジー&ラブコメディーです。今年連載開始40周年を迎えた本作の作者・池野恋さんへのインタビュー第1回は、新作誕生秘話やキャラクターへのこだわり、影響を受けた作家などについて聞きました。
(1)ときめきトゥナイトが復活 池野恋が描くアラフォー蘭世 ←今回はココ
(2)池野恋 真壁俊へのこだわりで、初めて自分の意思貫いた
(3)池野恋 63歳の漫画家は岩手で5時起き、4世代で同居
漫画家

編集部(以下、略) 『ときめきトゥナイト』は、初代ヒロイン・江藤蘭世と市橋なるみ(蘭世の弟のガールフレンド)、真壁愛良(蘭世の娘)の3人の主人公が物語のバトンをつなぐ3部作。今回、再び蘭世を主人公にした新シリーズが生まれた経緯を教えてください。
池野恋さん(以下、池野) それは、大人の事情です(笑)。2020年から私は『ブラッディ・ブライドー吸血鬼の婚活ー』という他の連載を集英社の雑誌「クッキー」で持っていたのですが、連載が動き出したころに、『ときめきトゥナイト』の連載開始40周年を記念した企画として「蘭世を主人公にした新しい連載を始めてほしい」という依頼があったんです。令和の時代に私が蘭世の連載を描くことになるとは思っておらず、すごく驚きました。
続編で蘭世が読者に受け入れてもらえるか、不安だった
池野 実は私の中では、『ときめきトゥナイト』の連載が終わった5年後くらいに、蘭世の娘・愛良の恋と地球存続の危機に焦点を当てた『星のゆくえ』を描いたことで物語は完結したつもりでいました。ただ、その後15年ぶりに番外編コミック『真壁俊の事情』が発売されることになり、さらに何度か番外編を描く機会をいただいて。今考えると私の中で蘭世が主人公の新連載を始める準備はできていたのかもしれません。
―― 新シリーズを始める上での壁や試行錯誤があれば教えてください。
池野 『真壁俊の事情』以降の作品は、本編では描かれなかった物語のすき間を埋める番外編でした。今回新たに連載を始める上で一番気がかりだったのは、「読者がアラフォー世代の蘭世を受け入れてくれるのだろうか?」ということです。