「自分の歌を唄う」とは?
―― ARIAとはイタリア語で独唱という意味なのですが、石川さんにとって「自分の歌を唄う」とは?
石川 歌は生きていないと意味がないと思うのです。昔の歌も、新たなアレンジを加えることで息を吹き返し、違う届け方や聞こえ方ができたら楽しい。いつだったか、阿久悠さんがこんなことを言ってくれたことがありました。「さゆりね、歌はヒットした時にいちばん輝くんだよね。でも何が面白いかっていうと、さゆりの歌は成長するんだよね。石川さゆりが成長していくとともに、歌が輝きを持っていく。それが書き手としてすごくうれしい」と。
―― 昭和、平成、令和と歌い続けてきて、今どんなことを感じていますか。
石川 所詮、私たちは時代の風ですから。歌を聞くだけじゃなく、ニュースを見聞きして、世の中の出来事を感じることは大事だと思います。私は計算できるタイプではありませんが、その時代の、その時の空気を感じることや、今の風の中に、世の中の人がどんな音楽や歌を求めているのか、嗅ぎ分けるセンサーは多少あるかもしれません。「どうよ、聞いてよ」と独りよがりになっては誰も耳を傾けてはくれませんから。
―― これから、どんなことに挑戦されたいですか。
石川 新しい、令和という時代の幕開けです。ついつい新しいことに飛びつきたくなる性分なので、新しきことばかりでなく、たとえば、体を整えるとか足固めの年にもしたいと思っています。
取材・文/砂塚美穂 撮影/川上尚見
石川さゆり
歌手
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