蓋を開けてみなきゃ、人にはどんな悩みがあるのか分からない。笑顔でステキなあのARIAさんも、40~50年も生きてりゃ悩みの1つや2つありますよね。さて、今日はどんなお悩みが出てくるのでしょうか――。今回は、外見の衰えが受け入れられないという女性のお悩みに、看護師僧侶の玉置妙憂さんが回答してくれます。

回答者:玉置妙憂さん(看護師僧侶)
「老い=駄目」だと社会がすり込んでいます
私たちは、現代社会の「若作り文化」の考え方に知らず知らず染まってしまってますよね。
例えば、「介護予防」という言葉があります。介護予防とは、「介護が必要になることが駄目だからそれを予防したい」ということですよね。でも介護が必要になるってどういうことか。人間は、普通に年を取ったら、そのうち足腰が弱くなって、他人の手を借りないとできないことが増えます。それは当たり前、普通の話です。
生まれたばかりの赤ちゃんは何もできません。誰かがおっぱいをあげたり、おむつを替えてあげたりしなくてはいけませんが、「そうならないよう予防しよう」とは誰も言わないですよね。「育児予防のために生まれてすぐ自立させよう」なんていうのはあり得ないですよね。それと同じぐらい、「介護予防」って言葉はおかしいですよ。
どちらも自然で当たり前のことなのに、赤ちゃんの成長のように「伸びていく事象」に対してはウエルカム。一方、人が老いていくように「後退していく事象」に対しては否定的に受け止める。これは、現代医学によって社会に根付いた価値観ではないでしょうか。
加齢とともに、つえを突いて歩いたり、おむつをしたり、他人の手を借りて生きることは駄目なことなのでしょうか。そうなってはいけないことなのでしょうか。そのような考え方が社会の根底に流れているから、年を取って出てくるシワも否定され、「美魔女」なんていう言葉が生まれ、「若く見える」ための手段や商品がもてはやされるんです。