世界中の人が新型コロナ禍に見舞われて1年以上。高齢の親を心配しつつ自身の仕事との両立に悩んでいるという方もいらっしゃるでしょう。ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の監督である信友直子さんもその1人。日経ARIAに2度目に登場してくれた2020年夏以降について、メッセージを寄せてくれました。
日経ARIAで2020年の夏に、実家のある広島・呉に帰れない葛藤を語ってくれた、ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の監督である信友直子さんの記事は、大変多くの方から反響をいただき、その後も読まれ続けています。
映画を撮った経緯については以下の記事に詳しいので、まだ読んでいない方はぜひ。
この映画や記事を通じて、信友監督の父・良則さんのファンになったという方もとても多いと聞きます。「実家に帰れない監督は、その後どうなったんだろう?」と気になっているARIA読者もいらっしゃると思い、信友監督からのメッセージと合わせてお伝えします。
途絶えた仕事、初めてのオンラインイベント
2020年6月に亡くなった母の初盆を迎えるはずだった8月、コロナ禍のため帰省できなかった信友監督は、呉の実家で一人暮らしをしている99歳の父をずっと心配していましたが、PCR検査を受けて9月下旬にようやく帰省できました。10月4日には「認知症が私たち家族にくれたギフト」と題して、良則さんと一緒に、自身にとっても初となるオンラインイベントを開催しました。講演や取材といった仕事がコロナ禍でできなくなってしまった信友監督にとっては、有料イベントへの手探りの挑戦でもありました。

イベント内で、信友監督は耳が遠く高齢の父を気遣いながらインタビューをしていきます。さらに、父が母の四十九日用に書いたという原稿を父が音読。思わず目頭が熱くなる内容に、多くの人から「感動した」という声が寄せられたそうです。
今でも新聞を3紙購読しているという良則さん、ふとんの上げ下げ、読書も続けているという毎日を紹介して、「(娘の直子さんには)わしらに持ってないえらいところがある。そこを伸ばしてもらいたい」「幸いにして病気がないですけんのう、ぼちぼちがんばりましょう」と優しく話していました。