何度も言われた「成功するはずがない」
ケーキ作りの修業も積んで帰国した平野さんは、地元・京都でお菓子教室をスタートした。最初の生徒は2、3人。単なるレッスンでは話題にならないと考え、米国開拓時代の衣装と金髪のかつらでコスプレをして、雰囲気も楽しめるスタイルに。それが功を奏したのか京都新聞で取り上げられると生徒が殺到。お店を出してほしい、という周囲の要望で店舗兼教室という形態に変え、東京にも進出した。
「ビジネスの経験はゼロ。『正気の沙汰やない』『成功するはずがない』と、一体何度言われたことでしょう。でも私は自分の直感と人生の成り行きを信じて進みました。もちろん辛酸もなめましたが、幸か不幸か、苦労を苦労と思わないところがあるというのかしら。人とのいいご縁に恵まれたおかげもあって、経営は徐々に軌道に乗りました」
経営が軌道に乗ったとき、平野さんの頭に思い浮かんだのは、ニューヨークにもお店を出したいということ。京都に初出店したときからの夢で、今がそれをかなえるチャンスかもしれない、と思ったのだ。60代に入って間もない頃で、これによって人生のサードステージが幕開けする。そして、現在の夫と出会うタイミングでもあった。
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取材・文/茅島奈緒深 構成/市川礼子(日経xwoman ARIA) 写真/洞澤佐智子