その「筋力不足」は危険です
コロナ禍では気を付けないとどんどん落ちていく筋肉。通勤や休日の外出が制限されるなか、特に深刻なのが下半身の筋力の低下です。そこで、なぜ下半身の筋肉を鍛える必要があるのか、自分でできる具体的なトレーニング方法は、などを、パーソナルトレーナーの中野ジェームズ修一さんに伺いました。
下半身の衰えが活動量を減らす悪循環
―― 家にこもる生活が続き、何となく「脚の筋肉が落ちているのではないか?」と不安に思う方は多いと思います。トレーナーからみて下半身の筋肉が落ちることで将来的に考えられるリスクとは何でしょう?
中野ジェームズ修一さん(以下、敬称略) コロナ禍に入り、多くの方から「運動は何をしたらよいか?」と聞かれるようになりました。常にいちばん重要だと伝えているのが下半身の筋肉です。
ボディーメイクの話(前回記事『コロナ禍で筋肉は2kg減!食後3分の運動で体が変わる』)でも少し触れましたが、人間の体は筋肉の6、7割が下半身に集中しています。また、加齢や運動不足によって筋肉量が減るとき、そのほとんどが下半身の筋肉です。
実は日本人は先進国のなかで座っている時間が最も長い、という統計があります。歩かない生活が続けば、当然、使われない下半身の筋肉量は著しく減少。少ない筋肉量で体を動かさないといけなくなり、少し体を動かすだけで疲れてしまう。だからますます動くのがおっくうになり、さらに活動量が減っていきます。
これによって基礎代謝が下がり、脂肪が付きやすくなったり、糖尿病のリスクが高まったりするのはもちろんですが、将来的に心配されるのは、やはり、「ロコモティブシンドローム」。介護が必要な体になってしまう恐れです。
例えば人は、肩やひじが痛くて腕が上がらなくなっても、自立した生活は送れます。しかし、下半身の筋肉が衰え、自分の体を自力で移動するのが困難になれば、自立した生活は難しくなります。まだ早いと思うかもしれませんが、落ちてしまってから筋肉をつけるのは大変なんです。