その「筋力不足」は危険です
40〜50代にもなると、筋力の衰えを感じるようになるのは、自然の摂理。「20〜30代をピークに筋肉量は下降し、40歳からの10年ごとに約8〜10%減少していきます」と、立命館大学スポーツ健康科学部教授 藤田聡さんは話す。歳を重ねるだけでどんどん減っていく筋肉量、それに加えてこの自粛生活。私たちの体は今どうなってしまっているのか。
コロナ禍の歩かない生活で脚の筋肉が激減
「自粛期間が約1年続き、なんとなく外出を控えるという状態に慣れてきましたよね。今までのようにアクティブに動かなくなったため、全体的に活動量が減少傾向にあります。まず、歩数がすごく減っていますが、歩数が減るというだけで、筋肉量がぐんと落ちるということが分かっているんです。
故意に2週間だけ1日の歩数を6000歩から1400歩(76%減)に減らして過ごしてもらうという実験を、65歳以上の高齢者を対象に行ったところ、男女ともに下肢の筋肉が平均して0.4kg減ったことが分かりました。『0.4kgって、大したことない』と思われるかもしれませんが、2〜3カ月間かなり頑張って筋トレをして、やっと増やせる数値です。歩数が減るだけでここまで筋肉量が減るというのは、私にとっても衝撃的な結果でした」
筋力低下が叫ばれる昨今、日々の生活に筋トレを加えることが最良ではあるが、筋トレが苦手な人は、散歩やウオーキングをするなどして少なくとも歩数を増やすことを目標にしたい。それに加えて、日々の食事に注意すれば、少なくとも筋肉量の減少は阻止できると藤田さんは話す。