うつとの上手な付き合い方
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更年期になると「疲れが取れない」「寝付きが悪い」といった症状を感じる人もいます。女性だけでなく、男性にもある更年期障害。ホルモンの変動がうつ症状にどう影響するのか、専門家2人に聞きました。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 茨城県地域産科婦人科学講座教授

イライラや落ち込み、不眠を感じる人も多い
編集部(以下、略) 更年期障害にはうつに関連するような症状も多いのでしょうか。
寺内公一さん(以下、寺内) 更年期の症状としてホットフラッシュなどがよく知られていますが、それ以外にやる気が出ないなどのうつ症状、ちょっとしたことで緊張するといった不安症状、寝付きが悪い、熟睡感がないといった不眠症状などの精神神経症状を感じている人が意外に多くいます。
東京医科歯科大学で私が2014年に行った調査でも、症状を感じる頻度が一番多いのは肩凝りや疲れなどですが、半数以上の人が、やる気が出ない、寝付きが悪いといった精神神経症状を感じていて、これはホットフラッシュを上回っていました。
―― 更年期にうつ症状が出やすいのはどうしてですか?
寺内 もともとうつ病の危険因子を持っている人は、更年期に差し掛かるとうつ症状が強く出る傾向にあります。例えば、失業や低収入のような社会人口学的因子や、飲酒、喫煙のような健康関連因子、介護や離婚といったストレスフルなライフイベントなど心理社会的因子があります。
また、過去にPMDD(月経前不快気分障害※)や産後うつなどの経験がある人、つまりホルモン分泌量の変化に対する脳の感受性が高い人も更年期のうつ症状が悪化しやすいことが分かっています。
※生理の前に心身が不安定でつらい状態になる月経前症候群(PMS)の中でも、情緒不安定、怒り・イライラ、抑うつ気分、不安・緊張といった精神的な症状が強く出る場合に「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断される―― 更年期のうつ症状は女性ホルモンの低下が原因なのですか?