多様性ってなぜ必要? 注目の男性リーダーに聞く
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マクドナルドの店舗の女性店長比率は約30%。その数値は年々上昇しているといいます。女性活躍だけでなく、多様性のある組織づくりに取り組むマクドナルドの現在のトップは、かつてジョンソン・エンド・ジョンソンで代表取締役社長を務めた日色保さん。ジョンソン・エンド・ジョンソンといえば、日色さんが率いた2018年に「女性が活躍する会社ランキング」(『日経ビジネス』調べ)の総合部門で堂々1位を獲得したダイバーシティ推進企業。前職、そして挑む場所を新たにしてもなお、ダイバーシティに力を注ぎ続ける理由とは。日色さんに聞きました。
多様な現場で毎日叱られながら気づいたこと
編集部(以下略) 日色さんは長年D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に取り組んでいますが、組織にはなぜ多様性が必要なのでしょうか?
日色保さん(以下、日色) まず、マクドナルドの場合、お客様がものすごく多種多様なんです。私は社長就任前に店舗研修をしたのですが、こんなにも毎日朝から晩までいろんな人が来店するのかと、改めて驚きました。朝ごはんを買いに来る会社員の方、ランチ利用する方、カフェの時間には学生さんや子連れのママさん、夜は夕食として利用する方など、小さなお子さんから90歳以上の方まで、お客様のダイバーシティがすごいんです。
それに加え、店舗で働く人も多種多様です。高校生から主婦、外国人など年齢も国籍もさまざまです。でも一つの店舗を運営していくために、誰が学生で誰が女性で、なんてことを気にしてオペレーションするわけではありません。研修当時は私も、高校生のスタッフを含め同僚のクルー(アルバイト従業員)にたくさん叱られました。最初の2週間は「すみません」「ごめんなさい」「申し訳ありません」の3語しか発していなかったんじゃないかというくらいです(笑)。
マクドナルドは日本だけで2940店舗あり、クルーの数は約19万人。これだけの人が日々働きにきてくれないと店舗は動かせません。だから、いかに彼らが毎日自分らしく働いてくれるかというのは、わが社にとって大事な生命線なんです。
―― マクドナルドでは女性店長の比率アップを推進しています。前職のジョンソン・エンド・ジョンソン時代には主に男性管理職に向けたアンコンシャスバイアストレーニングをいち早く取り入れたとか。女性の活躍を支援する理由は?