ハラスメントを生まない組織
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1パワハラ被害者だった私が加害者になってしまった話
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2職場のハラスメント、これはアウト? 弁護士がジャッジ
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3うっかり加害者にならないためのハラスメント言い換え術←今回はココ
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4「良かれと思って」に潜むアンコンシャス・バイアス
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5上司も部下も呼び捨て禁止 先進2社の取り組みは?
「部下を成長させたいと厳しく指導していたら、パワハラだと指摘された」「プライベートの相談までしてきていた部下と最近距離を感じるようになった」など、部下との関係で悩む人は少なくないのではないでしょうか。無意識に若手社員や部下に対して問題ある言動をしていない自信はありますか? 「うっかり加害者」にならないためのポイントをハラスメント対策専門家・山藤祐子さんに聞きました。
必要性と相当性のある指導ならOK
編集部(以下、略) 前回の記事では、ご自身のハラスメント体験を語っていただきました。山藤さんのように無意識にパワハラの加害者になってしまうということは、責任を持たされやすいARIA世代には誰にでもありうることのように感じます。
山藤祐子さん(以下、山藤) 法律的にNGなパワハラとはいかないまでも、話し方を少し間違えてしまうだけで、トラブルになることはよくあります。
―― 近年はハラスメントの認識が広がり、部下や後輩のミスを指摘するのにも尻込みしてしまうという声もよく聞きます。
山藤 まず管理職の方に伝えたいのは、育成するのが管理職の仕事だということです。つまり、ハラスメントが怖いからと避けて指導をしないというのは半分仕事をしていないということ。必要なことは言わなければいけません。その指導が必要なもので、言動ややり方が合っている。つまり必要性と相当性がある指導なら全く問題ないのです。
―― 必要性と相当性とは、具体的にはどういうことでしょうか?
山藤 例えば部下がお客さまに出したメールに誤字があったとき、再発防止のために指導しなければいけません。そこでどのように指導するか。「何やってんだ!」「なんでできないの?」という叱責では、改善にはつながりません。「それでも大学出たの?」なんていう人格否定をする言葉ももちろん不適切です。「次からは気をつけて。送る前に一度確認してね」という改善策を提示することが、再発防止につながる相当性のある指導です。
あとは部下と上司の間でよくあるのが、トラブルの報告が遅れたときのやりとりですね。