ハラスメントを生まない組織
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1パワハラ被害者だった私が加害者になってしまった話
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2職場のハラスメント、これはアウト? 弁護士がジャッジ
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3うっかり加害者にならないためのハラスメント言い換え術
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4「良かれと思って」に潜むアンコンシャス・バイアス
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5上司も部下も呼び捨て禁止 先進2社の取り組みは?←今回はココ
相手に不快感や居心地の悪さを与える職場のハラスメント。個人的な要因もあるが、意見が通りにくい閉鎖的な職場環境や、アンコンシャス・バイアスを押し付ける上下関係などがハラスメントを生み出す土壌になっている。お互いを尊重し、オープンなコミュニケーションのある組織づくりには何が必要か?
幅広い国や地域からの出身者が多くを占め、9500人以上の社員が働くアマゾンジャパンと、AI通訳機「ポケトーク」などの販売で躍進するソースネクスト、2社の取り組みを取材した。それぞれにフラットな組織づくりにつながるルールや制度があり、「個人を大切にする」という共通の組織カルチャーがあった。
「さん付け」で呼び合うと話し方も丁寧になる
ソースネクストには、お互いを「呼び捨てにしない」という組織のルールがある。上司を役職名でなく「~さん」と呼ぶだけではなく、部下や同僚を呼ぶときもさん付けにする。
「平等なチャレンジの土台がある、実力主義の組織にしたいという創業者の思いがあり、社員全員がお互いを○○さんと呼んでいます。先輩が後輩を呼び捨てで呼んでいたら、上下関係が固定されてしまいますよね。普段から『おい、○○』と呼ぶ関係だと、実力がある若手を抜擢(ばってき)したときお互いがやりにくくなる。これは、『~ちゃん・くん』も同様で、そう呼んだ瞬間に上下関係が生まれます。『~さん』と呼びかけると、その後に続く言葉も威圧的な言い方ではなく、自然に『~してください』と丁寧になります」とソースネクスト代表取締役社長兼COO(最高執行責任者)小嶋智彰さんは言う。
同社ではプロジェクトごとに各部署からメンバーが集まることも多いが、役職で呼び合わないので、集まったメンバーにも上下関係が生まれず、遠慮や忖度(そんたく)、根回しなどがなく議論がスムーズに進む。「スピード感を上げていくには、コミュニケーションのロスをなくさなくてはいけない。スピード経営をする上でも、フラットなコミュニケーションや風通しの良さは大切にしています」