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電通にはA面(本業)とは別にB面を持った人たちの組織「Bチーム」が存在する。趣味を突き詰めている人、特殊なバックグラウンドを持った人など、個性的なB面の経験や知識を生かして今までにないやり方「プランB」を提案するという。いったいどのようなチームなのか。チームを率いる倉成英俊さんと、メンバーの大山徹さん、キリーロバ・ナージャさんにその楽しい仕事ぶりを聞いた。
「スゴイB面を持つ社員を集めれば、すぐにシンクタンクができる!」
編集部(以下、略) Bチームはどのようにして生まれたのですか?
倉成英俊さん(以下、倉成) 電通入社3年目に同期とお金を出し合って紙飛行機型のポストカードを作り、デザイン展に出展したり販売したりと、僕のB面生活がスタートしました。
「会社を辞めます」と言うと、上司が引き留めるために海外留学制度を承認してくれて、好きだったバルセロナのプロダクトデザイナーのところに働きに行ったんです。帰国後、広告制作とプロダクトや空間デザインの両方の経験を持っている人はいないので、僕のところに特殊な案件の仕事が回ってくるようになりました。広告ではないけれどクライアントの新規事業を作り出すような規格外の仕事です。
倉成 そのうち上司から「電通総研キュレーションチーム」を立ち上げるように言われたんです。シンクタンクにクリエーティブチームが入るのは面白そうだと思ったし、独自のコンセプトを打ち出せると思ったのですが「流行の半歩遅れみたいな名前はダサくないですか」と拒否。「自分たちが、仕事上じゃなく個人的にいいと思えるものしか打ち出さないけどいいですか?」 と言うと、それでいいというので、やることにしました。
新しいものを生み出すのには、世界の隅々や最先端で何が起こっているかを知らなければなりません。リサーチに1年はかかりそう。2年で結果を出すためには時間がかかりすぎる。そのときに、「副業チームを集めればいい!」と思いついたんです。
その発想のきっかけになったのは、クリエーティブ・ディレクターの木村年秀さん。夜はDJ MOODMANの名でクラブカルチャー界隈(かいわい)では著名なDJとして活躍し、フジロックにも出るような人です。僕が新入社員の頃、オスロに行ったときにどこのレコード屋に行ったらいいか分からず、木村さんに電話したら「2年前ならあそこのクラブがあったんだけど、潰れたんだよな……」と瞬時に答えが返ってきたんです。彼のようにいろんなジャンルに通じている人を集めれば、いきなり機能するシンクタンクが始められるはず。
試しに8人の社員に声をかけ、本社ビルの37階のソファに集まりました。DJ木村さんのほかに小説家、スキーヤー、元編集者、元銀行員など、それぞれが自分の好きなジャンルについて140字以内で書いて共有したら、リサーチゼロなのにみんなの話が面白い!