これからの家族のカタチ
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1家族消滅時代に突入!私たちの家族はどこに向かう?
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2「卒婚」で人生後半の「自分らしい幸せ」を考えてみた←今回はココ
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3同じマンションの別部屋に暮らす「友達近居」が心地いい
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4不妊治療、死産を経て43歳で「養子」という決断
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5「弁護士夫夫」と考える 同性婚、家族と法、家族と愛
人生後半戦を考えたとき、これまでの「結婚生活」が自分の幸せとズレてしまうことだってあります。いきなり熟年離婚へと踏み出す前に、夫婦の関係性を考え直す「卒婚」という形が注目されています。卒婚が導くこれからの「家族のカタチ」とはどんなものなのか。
弁護士で離婚カウンセラーの山下環さんによると「卒婚に法律上の定義はありませんが、『婚姻関係を継続しながらパートナーとの関係を緩く保ち、別居や家庭内別居でお互いの生活を充実させる』という意味で使われることが多いようです」。離婚となると財産分与や年金分割、親権といった問題も出てきますが、婚姻関係を継続している卒婚であれば法的手続きは必要ありません。その上で「婚姻が継続していると収入が多い方から婚姻費用(生活費)を受ける権利もあります。離婚ほど関係性が壊れていないので、話し合っていろいろ決められるのが卒婚の最大のメリットです」。
結婚から十数年以上たったARIA世代に多いといわれる卒婚。ARIAさん3人の実例を取材して、これからの「幸せな卒婚」を考えてみました。

定年を機に夫は実家のある田舎へ、私は東京へ
ツアーコンダクター 塚田英子さん(仮名63歳)の場合夫69歳 長女29歳 長男26歳
「卒婚という意識はなかったけど、結果的に今は卒婚状態ですね」と笑って話すのは、夫と別居して東京暮らしをする塚田英子さん。卒婚を開始したのは58歳のとき。夫の転勤に伴って日本を離れ、十数年間海外生活を続けていましたが、夫が定年を迎えた4年前に帰国。「田舎暮らしがしたい」という夫は実家のある山口へ、英子さんは大学生の息子が住む東京のマンションに移り住みました。「定年になってずっと家にいる夫の世話をして朝から晩まで一緒に過ごしたら、自分の人生に意味を感じなくなる。そんな生活を一度始めたら、一生夫の世話から抜け出せないでしょ。周囲の友人たちからは驚かれたけど、思い切って別々に暮らす決意をしました」。