これからの家族のカタチ
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1家族消滅時代に突入!私たちの家族はどこに向かう?
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2「卒婚」で人生後半の「自分らしい幸せ」を考えてみた
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3同じマンションの別部屋に暮らす「友達近居」が心地いい
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4不妊治療、死産を経て43歳で「養子」という決断
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5「弁護士夫夫」と考える 同性婚、家族と法、家族と愛←今回はココ
「同性婚が認められることによって、多くの人が自分にとって家族がどういうものかを考えるようになるでしょう。それによって多様な家族があるということが当たり前な社会になればいい」
こう話すのは、2013年に吉田昌史さんと結婚式を挙げた南和行さん。2018年には大阪市で始まった「パートナーシップ宣誓証明制度」の宣誓書を提出しました。2人は大阪で弁護士事務所を開設する、いわば弁護士夫夫(ふうふ)。同じく2018年には、2人の生活を追ったドキュメンタリー映画『愛と法』も公開されました。周囲との確執を乗り越え、吉田さんと幸せに暮らす南さんに、家族と法律、そして南さんにとっての家族について聞きました。
「家族」なら法律で優遇される その家族とは?
―― 南さんは、弁護士業務として家族に関する事案を多く扱っていますが、家族とはどんなものだと考えていますか。
南和行さん(以下、敬称略) 家族はまさに「いろいろ」です。一緒に暮らしている人のことを家族と考える人もいれば、離れて暮らしていても「特別だ」と思いやっていて、その人を家族と思う人も世の中にはたくさんいます。結婚して実家を離れても、実家の父や母のことを家族という言葉で表す人がいれば、結婚した後は一緒に住む配偶者と子どものことだけを家族と表す人もいるわけで。本当に人それぞれです。
ただ、民法第772条では、男女ペアで、子どもが生まれる枠組みこそが結婚であるという家族モデルを提示しています。そして法律では、「法律が認める形の家族なら特別に優遇しますよ」という決まりがある。家族になれば、相続や老後の財産の管理、税金や社会保障での優遇がある一方で、ほったらかしにしたら責任を負わされるなど、家族が互いに守られる関係を法律がつくっているわけですよね。
「誰を、どこまでの関係を家族とするか」は人それぞれなのに、なぜ法律は「この組み合わせだけ」とか「ここの部分だけ」を特別に優遇するのか? このことについて考えるのが、家族と法律を考えるということだと思うんです。同性カップルに限らず、現実には多種多様な家族が暮らしていて、一つとして同じ家族はないはずです。本来ならば、法律はどんな形の家族も家族として存在を認めて、法律上の保護を与えるべきではないでしょうか。
ここで、1つの例として同性婚について考えてみます。
(1)婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
(2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
(1)妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
(2)婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。