完璧なリーダーはいらない 強いチームのつくり方
日経ARIAの読者調査で、リーダーの悩みとして最も回答が多かったのが「プレーヤーとマネジメントの両立が難しい」だった。日本では現在、部長の95%以上がプレーイングマネジャーというデータもある(産業能率大学総合研究所調べ)。加重平均では、部長業務の約4割がプレーヤーとしての仕事だという。これでは時間に追われて、マネジャー本来の役割がおろそかになるのもうなずける。
どうすれば、こうした「働きすぎ」の状態から抜け出せるのか。リーダーシップに関する研修を多くの企業に実施している「らしさラボ」代表取締役の伊庭正康さんに、プレーイングマネジャーの仕事を軽くして、チーム全体で成果を上げるノウハウを聞いた。

―― プレーイングマネジャーの働き方の現状を教えてください。
伊庭正康さん(以下、敬称略) プレーイングマネジャーは、専任のマネジャーとは違い一人二役をしなければなりません。部下のマネジメント業務に加えて、個人としての成果も求められます。常に指揮官が最前線で戦うイメージです。プレーヤーとマネジメント業務の両立は、思う以上に大変です。
自分のプレーヤーとしての業務は部下に引き継ぐ
―― 伊庭さんは「自分がいなくてもメンバーが勝手に動く最高のチーム」をつくることに成功したそうですが、どうすればいいのでしょうか。
伊庭 リーダーがプレーヤーの業務を、部下に引き継ぐことがポイントです。リーダーの仕事が楽になるのはもちろん、部下の力だけで仕事を回せれば、好業績を出せるようになります。「自分がやったほうが早い」という理由から、いつまでもプレーヤーの業務を続けるリーダーはいますが、中長期的に見れば、絶対に手放したほうが効率は上がります。
―― ARIAの読者からは「部下が頼りなくて仕事を任せられない」「チームが自分の思う通りに動かない」という声があります。
伊庭 多くのリーダーは、部下に何をすべきか、なぜやらなければならないかを言わないまま、いたずらに頑張らせようとしています。リーダーが語るべきは、「目標を達成しよう」とか「シェアNo.1になろう」ということではありません。それでは、人はついていきません。
