完璧なリーダーはいらない 強いチームのつくり方
女性の視点で会社を変える――。ある金融機関で、女性社員10人によるワーキンググループが発足した。縦割り組織を横断して選ばれたメンバーが、新規のイベント企画や、役員への提言を次々に実現。最大の成果は、若手から新しいアイデアが次々に生まれたことだという。中核メンバーだった佐藤さんは、その実績を会社から評価され、今度はIT部門で働く女性社員17人によるチームの長に起用された。若手のやる気を引き出す、成功の秘訣は何か。話を聞いた。
離職者を減らす目的で、ワーキンググループが発足
―― 佐藤さんがリーダーを任されたのは、どのようなチームだったのですか。
佐藤 浩子さん(仮名。以下、敬称略) 今から2年ほど前、会社でさまざまな部署の女性社員10人が選ばれてワーキンググループが発足しました。日常業務とは別のチームです。そこで与えられたミッションは「女性の視点で会社を変えること」。中でも第1の目標が、会社の離職者を減らすことでした。ここ数年、20~30代の社員が会社を簡単に辞める傾向が目立っていました。そのため、若い世代が活躍できる場を増やし、女性が働きやすい環境をつくるにはどうすればいいのか、会社に提言し、実行することが求められました。
約1年半の活動で、若いメンバーからアイデアが次々に出てくるようになり、女性社員向けのイベント企画をいくつも実現しました。講演会、パネルディスカッション、社会貢献活動、社内アンケート、社内交流会などです。
―― どうやって、若手が積極的に発言するチームをつくったのですか。
佐藤 私自身がワーキンググループ内で「いつでも相談できる、話せる」人になる、つまり、何でも言いやすい環境をつくることを心がけました。若手が気軽に相談できたり、励まされたりする場が必要だと思ったのです。そのため3つのことを意識して、若手に声をかけるようにしました。