部長の壁
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5「答えをくれないのは上司失格」転職先で社内文化に困惑
2021年に金融庁と東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを改訂し、上場企業は管理職の多様性確保についての方針や目標を開示資料に盛り込むことを求められるようになった。しかし、女性などの管理職登用についての状況や目標を公表したのは東証1部上場企業67%、2部上場企業46%、ジャスダック・スタンダード上場企業38%にとどまっている(21年12月末時点)。
目標設定すらおぼつかない企業も多く、女性部長が当たり前になるにはいまだ多くの壁があるのが現状だ。そんな中、約70人いる女性部長の横のつながりを深め、女性活躍をバックアップしている企業グループがある。MS&ADインシュアランスグループだ。
グループを横断する総勢約70人「女性部長の会」
同グループは、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険など保険会社5社と関連事業会社などからなる保険金融グループだ。グループ全体の女性管理職比率は、20年度末に目標としていた15%を達成し、21年4月時点で16.1%(持ち株会社と保険5社の合算)。持ち株会社であるMS&ADインシュアランスグループの人事・総務部課長・針生知子さんは、「30年度末までに30%を目標比率としているほか、組織の意思決定にかかわる組織長(ライン長)に就く女性の比率を15%(21年4月時点で8.3%、持ち株会社と保険5社の合算)まで引き上げることを目標にしています」と語る。
女性管理職30%を実現するためにさまざまな施策を打っているが、注目は女性部長に対する3つの取り組みだ。
19年に旗揚げしたグループ横断の「女性部長の会」は、女性部長を組織化することで活躍を後押しし、会社の意思決定に関与する女性社員を増やしていくのが目的だ。「課長までは、リーダーシップセミナーや研修制度などがグループ各社で整っていますが、部長以上に関しては、基本的に社員各自に任されています。しかし、ロールモデルが少ない女性部長には、組織として学びや発見の場をつくる必要があるのではないかと考えました」と同人事・総務部部長の中川宏之さん。