コロナ・ショックの現在、その先の未来 ~今、リーダーがすべきことは?~
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1パンデミック後には本当の働き方改革が進む 出口治明
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2出口治明 コロナ不安を乗り越えるための大人の読書
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3出口治明 パンデミックの今こそ読書が人間力を高める
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4リモートワークで生産性を上げる秘訣とは 小室淑恵
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5ワーク・ライフ・バランス 育児・介護に限ると失敗する
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6テレワークで問われる 普段からのチームビルディング
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7今こそ、リーダーに求められる「伝える力」 高田 明
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8「テレワークでマネジメントできない」はマネジャー失格
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9しぼむ観光需要 「3密回避の滞在」で回復へ 星野佳路
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10収入源1つはリスク高すぎ 個人のスキル磨きが加速する
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11コロナ禍で滅びるブランド、生き残るブランド 境界は?
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12アパレル店舗の多くが消滅する時代へ――生き残るのは?
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13コロナにマッチョなリーダーシップは効かない 藤野英人
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14コロナ禍で大事なのは、2つの異なる「観察」藤野英人
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15危機の時こそ丁寧なコミュニケーションが絆を強める
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16テレワークうつ、Zoomで情報漏洩…救うのはAIか?
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17藻谷浩介 テレビが語らないコロナの話 正しい情報は?
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18緊急事態宣言の解除 その後何が起きる? 藻谷浩介
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19コロナ後のリーダーに求められる「根拠と説明」 松本大
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20松本大 コロナ後の日本は「自己肯定」から成長していく
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21若年層や女性にも迫るホームレス問題 ピークはこれから
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22コロナ禍で生き残るアパレルは? オンライン完結で時短
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23京大総長・山極寿一 コロナ禍で直面「自分のホームは」←今回はココ
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24売り上げ98%減 訪日客観光業でどう戦う? 加藤史子
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25会社存続の危機に生き生きしている自分がいる 加藤史子
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26国立新美術館長「コロナ後の世界にこそ、アートが必要」
世界を襲う「コロナ・ショック」を、ゴリラ研究の世界的権威であり、京都大学総長の山極寿一さんはどう見ているのでしょうか。一人ひとりの生き方から始まり、家族の話、人間が地球に課していた負担、コミュニケーション論、オンラインで可能・不可能なこと、そしてゴリラの暮らしまで――縦横無尽に話題は展開していきました。
自分にとっての「ホーム」とは?
新型コロナウイルスの感染拡大と、それに対応するためのさまざまな変化の中で、ここ数カ月間のうちに人々は多くのことに気づき、これまでの在り方を見直す必要に迫られています。
生活を直接的に変えた出来事の筆頭は、外出自粛とテレワークです。「ステイホーム」を合言葉に、世界中の人々が自宅中心の生活を経験しました。自宅といってもその「かたち」はいろいろ。独身世帯や夫婦だけの世帯もあれば、子どもの多い家庭もあるし、要介護者を抱えた家庭もあります。一人ひとり、自分にとっての「ホームとは何か」という問題に直面したことでしょう。
今まで仕事に一生懸命で、自宅で過ごす時間が少なかった人ほど、「ホームとは何か」を考えざるを得なかったのではないでしょうか。家族全員が自宅にずっといるという環境の中で、子育てや家事、介護の分担など、これまでも既に課題であったはずのことが改めて目の前に突き付けられました。労働と家庭とのバランスは、コロナによって明確になった最も身近な問題と言えます。日本はこれまで労働優先の社会でしたが、ステイホーム期間にさまざまな問題が自分事として捉えられた今、この価値観は見直さざるを得ないでしょう。
霊長類学・人類学者、京都大学総長
ゴリラの暮らしは「接して触れ合わず」
ゴリラは、「接して触れ合わず」という生活をしています。一日中、群れと一緒に時間を過ごします。その時間を平和に過ごすには、たとえ体の大きさが違ったとしても平等にならざるを得ません。皆さんは、外出自粛生活の中で「閉鎖された集団の中での対等性」がいかに大事であるかを、痛感したのではないでしょうか。
一方で、ゴリラは集団から数日離れただけで、元の集団に戻れなくなります。「身体が共鳴し合っていること」が群れのメンバーであることの証しなのです。人間は共鳴から外れたとしても、許容力を持っているため、集団に戻ることができます。その許容力を生かした社会をつくるべきだと思います。