around50が会社を去る日
-
1大企業で働くあなたが「地方転職人材リスト」に載る日
-
248歳で独立 「元アマゾン」の肩書を超えられた日
-
355歳でNTTグループ退社 「横串の人」が自分の役割←今回はココ
-
4地方へ転職、副業、継業 活躍できる人の3つの特徴
-
5ソニー退社の54歳 未経験の職種に大胆なキャリア変更
NTTグループの中で、大学の講義を無料で受けられるオンライン学習のサービスを立ち上げ、51歳でドコモgaccoの代表取締役に就任した伊能美和子さん。ところがその数年後、事業が成長する中で別会社への辞令。いったんは異動して頑張ってみたものの、悩んだ末に32年間勤めた会社を去ることに。その決断の背景と、辞めて見えてきた新しい役割について聞きました。
自分で立ち上げた事業を見届けることはかなわなかった
編集部(以下、略) NTTという大きな企業体の中で、MOOC(大規模公開オンライン講座)などの新しい技術やトレンドをキャッチして、伊能さんはいくつも新規事業を立ち上げてきました。イントレプレナー(社内起業家)として、グループ内転職をしながら創造的に仕事に取り組んできたという印象ですが、会社を辞めようと思ったのは、どういうきっかけでしたか。
伊能美和子さん(以下、敬称略) 会社を辞めるかどうか、2年ぐらいは悩んだ時期がありました。もともとNTTに入ったのは、これからは世の中の課題を通信で解決したいと思ったからです。グループ企業がたくさんあったので、若いときから新規事業をつくれる場所を自分で選んで異動してきました。
2012年にはNTTドコモに異動し、オンライン学習サービス「gacco」を立ち上げたんです。著名な大学の先生方を巻き込んでJMOOCという団体も発足させ、将来的には学校教育のスタイルを変えたり、大人の学び直しというマーケットを作ったりしたかった。でも、役職定年に伴う人事異動のタイミングが来てしまって。
どういう形でもいいから事業に関わりを持ちたいと伝えたのですが、それも難しく……。この先に思い描いていた構想を自分の手で実現し、見届けることはもうできないんだな、と残念な思いでいっぱいでした。最初はそこで辞めようと思ったんです。gaccoに思い入れが強すぎたんです。
―― 心が折れつつも、そのときは退社を踏みとどまったんですね。次の辞令は子会社、タワーレコードへの出向と副社長就任。世間的に見ればいいポストですが、そのまま続けようとは思わなかったんですか?