社会を変える一歩を踏み出す
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2021年4月22日、選択的夫婦別姓制度の早期実現に向けた法改正提言を求める要望書が、小池百合子・東京都知事に手渡されました。代表で要望書を手渡した井田奈穂さんは、2018年に「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」を立ち上げ、これまで数多くの陳情により法改正を求める意見書を国会に提出してきました。政治経験ゼロの井田さんが、これほどの熱意を持って法改正へのアクションを続けるのはなぜか。都知事への手交の直後に話を聞きました。
私は家から家に譲渡されたモノじゃない!
編集部(以下、略) 井田さんが選択的夫婦別姓の法制化の実現に取り組むことになったのは、どのような思いからですか。
井田奈穂さん(以下、井田) 随分遡りますが、私、学生結婚をしたんです。名前は変えたくないと相手に言うと「そんなことできるの?」と理解できないようでした。
男性側が改姓してもいいんだよと話すと、「女の名字にするなんて恥ずかしい」と言うのです。お互いの両親からも、「長男の嫁になるのだから」「女性が改姓するのが当たり前」と全く理解されませんでした。
仕方なく夫の姓にしたものの、思った以上に喪失感が大きくて。最初の出産のときに、病院で夫の姓である「井田さん」と呼ばれることに強い違和感があったことを覚えています。
義父から「うちの嫁になったのだから、家紋の入った喪服を作る」と言われて、家と結婚したわけではないからと断ったのですが、結局作ることに。私は、家から家に譲渡されたモノなのか。それが違和感の大きな理由だと思います。
就職した際、新卒社員の旧姓使用は一般的でなく、結局、井田という名前で19年間キャリアを積み、その後離婚しました。もし私が旧姓に戻せば、同氏同戸籍(同じ姓の者しか同じ戸籍に記載されない)の原則から2人の子どもに望まない改姓をさせることになります。仕事の関係者への告知や手続きの煩雑さも考えて、婚氏続称の手続きをしました。