はじめての社外取締役
社外取締役に女性を迎えるというニーズが高まっています。以前は士業や研究者、金融のプロや著名人が目立った社外取締役の人選も、最近は事業会社の役員や管理職が増えてきました。社外取締役の採用ルートや社外取締役就任後の将来展望について聞いた前回「女性社外取締役への道 マッチングビジネス3社に聞く」に引き続き、エグゼクティブ人材のマッチングビジネスを展開する3社に、社外取締役として求められるスキルや企業とのミスマッチを防ぐ方法を聞きました。
Waris代表取締役・共同創業者 田中美和さん(以下、Waris)
【Warisエグゼクティブ/2021年1月サービス開始】
ビジネス系女性フリーランスと企業のマッチングサービスを主に展開するWarisが、女性役員(取締役、社外取締役、監査役、執行役員)候補者人材を紹介するサービス。登録者数は2022年5月現在で400人以上。
ビザスク ビザスクpartner事業部事業部長 草野琢也さん(以下、ビザスク)
【ビザスクboard/2020年12月サービス開始】
スポットコンサルなど、ビジネス領域に特化したマッチングサービスを提供するビザスクが、社外取締役・社外監査役に特化したマッチングサービス。同社に登録する46万人(国内17万人)以上のデータベースの中から、候補者を提案・紹介している。
リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長 佐藤学さん(以下、リクルート)
【リクルートエグゼクティブエージェント/2001年4月サービス開始】
経営層・エグゼクティブ層に特化し、社長、取締役、経営執行責任者、事業部門責任者、社外取締役の候補者人材紹介とエグゼクティブのヘッドハンティングを展開。これまでに5000人以上の紹介・決定実績を持つ。
Q.社外取締役になるために、求められる経歴やスキルを教えてください。
Waris 2021年のコーポレートガバナンス・コード(CGコード)改訂により、東証プライム市場とスタンダード市場の上場会社は「スキルマトリックス」の作成と開示を要請されました。スキルマトリックスとは、取締役として重要な知識や経験、専門分野などのスキルを一覧表にしたもの。取締役の選任・解任に関する透明性を確保し、経営人材に多様性を持たせる狙いがあります。
企業はスキルマトリックスを念頭に置きながら候補者を探すので、「財務・会計の知見がある人が欲しい」「デジタル領域の知見がある人を迎えたい」など、求めるスキルが明確な依頼が増えました。最近は、サステナビリティ領域の知見を持つ女性を探しているという声をよく聞きます。CSR(企業の社会的責任)関連の経験を積んだ人やPR・IR経験を持ち、サステナビリティに関する取り組みを発信する業務に携わってきた人は、特にニーズが高まっていると思います。
経営経験を重視する企業は多いですね。ただ、社外取締役はできれば女性を迎えたいという場合、条件を満たす人材はすでに何社も兼務していたりして、候補者はかなり絞られます。現実的には、「事業会社で部長クラスの経験があり、財務領域の経験豊かで公認会計士の資格を持っている人」「小規模でも自分で会社を経営し、多様性推進の経験もある人」といった形で、経営に近いレベルでの経験と専門性の掛け合わせで、マッチングをしていく感じです。