はじめての社外取締役
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社外取締役はどのように選ばれるのだろうか。実際に選んだ側と選ばれた側の両方からの声を聞いてみたい。日経xwomanの連載コラムでも人気の高い米国ニューヨーク在住のビジネス・コンサルタント渡邊裕子さんが、2022年3月の株主総会で承認されてサイボウズの社外取締役に就任したと聞き、同社代表取締役 青野慶久さんと渡邊さんにオンラインで話を聞いた。
これまでサイボウズで社外取締役を置いていなかったワケ
編集部(以下、略) サイボウズでは今回初めて社外取締役を設置したそうですね。その経緯を聞かせてください。
青野慶久さん(以下、青野) まず前提として、サイボウズの組織で大事にしているのは「100人100通り」。一人ひとりの意見を尊重しています。言い換えると権限を集中させない。例えば、社員は自分の働く時間や場所、職種も選べる、つまり人事担当は異動させる権限すら持っていません。
権限を分散する中で「取締役は必要?」という議論がありました。私を含めて創業期から関わってきた3人が形式上取締役をやってきたのですが、1年半前に「やりたい人がやる」環境をつくるために取締役を公募制にし、社内から手が挙がった17人全員を取締役にしたという経緯があります。
取締役は法的にも責任が重いです。社外取締役についても、経営上のことは社内の人のほうがよく知っているのに、わざわざ社外の人を呼んできて責任を負わせる必要があるの? という考え方から、社外取締役は置かないという判断をしてきました。
「外部の人を排除して自分たちだけの世界をつくりたいのでは」と言われることもありましたが、サイボウズでは毎年100人ほどの人材を新たに採用しています。彼らが自律的に社内の情報にアクセスして意見を言う権利を行使しているので、毎年社外取締役を100人置いているようなものだと考えていました。
ところが、21年に改正会社法が施行されて、(上場会社等に)社外取締役の設置が義務化されたので、私たちもいよいよ置くことにしました。その前に取締役の公募制を経験したことで、責任や権限を軽減できていたのはよかったと思っています。
では、どんな人を社外取締役に迎えるか考えたとき、社員が来てもらいたい人を選びたいと推薦を募りました。推薦された中からビジネスパートナーなど利害関係のある人は除いて候補を絞りました。組織戦略室長の山田理の推薦で渡邊さんにお会いして、素晴らしいと思ってお願いすることを決めました。
―― 日経xwoman読者には既におなじみですが、改めて渡邊さんの経歴をうかがえますか?