はじめての社外取締役
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社外取締役といえば、弁護士や公認会計士や研究者といった専門家や、企業経営の経験がある人が務めるイメージがあるかもしれません。ですが、最近は事業会社の事業部門での経験を生かして社外取締役にチャレンジする人も出てきています。新卒入社してから定年退職するまでマーケティングを専門に花王で活躍し、在職中から定年後の今に至るまで複数社の社外取締役を歴任する久保山路子さんもその1人。どのようにしてその切符を手にしたのか、話を聞きました。
「新しいことにも物おじしないし、やってみないか?」
編集部(以下、略) 久保山さんは、1980年に花王に新卒入社し、定年を迎える2021年まで務め、その間の2017年に初めてジャックスの社外取締役になっています。それまでの経歴ではマーケティングや広報が専門で、花王内では取締役などの経験はないようですが、どのような経緯で社外取締役を引き受けることになったのでしょうか。
久保山路子さん(以下、久保山) 私は花王に入社してすぐにマーケティングセクションの所属になり、以降は、商品広報をはじめマーケティングサポート部門を中心に一貫してブランドを支える仕事に携わってきました。製品を開発して流通させるという流れを商品広報として支えるために調査やPRをし、花王のブランドに強く関わってきました。
なので、経営の経験は全くなく、最初に社外取締役のお話をいただいた時は本当に驚きました。
「(ジャックスの社外取締役として)女性で、花王の現役社員でも元社員でもいいから、消費者情報に強くてマーケティングの知見のある人を推薦してもらえないかと言われた。現役でいきなり社外取締役は難しいだろうけど、久保山なら新しいことにも物おじしないし、消費者情報に詳しくマーケティングの経験も豊富だからどうだろう」と間に入っていた花王の先輩が私に声をかけてくださったんです。ジャックスとしては初めての女性取締役だからこそ、「物おじししない」という点が大事だったのだと思います。そこから、ジャックスの社長との面談を経て、実現しました。
―― 社外取締役というポストに就くのは初めてのことでしたが、不安はありませんでしたか?