キャリアの夏休み
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この特集では、サバティカルタイムを取った人たちの体験を通して、自分を見つめ直し、次のステップに向けた活動に思う存分時間を費やせる「キャリアの夏休み」の意義を紹介してきました。とはいえ、すぐに今の仕事を手放して年単位の休みを取るというのはなかなかハードルが高いもの。では、この先も息長く、自分らしく働き続けるために誰もができる行動とは? ミドルシニア層向けの学び直しとキャリアデザインの場「ライフシフト大学」を運営するライフシフト社のCEO、徳岡晃一郎さんに聞きました。
私たちは「人生100年」の見通しがよく分かっていない
編集部(以下、略) 私たちミドル世代には学び直しやリスキリング、越境体験など、キャリアのセカンドステージに備えて動くことが必要だという意識が広がっています。でも実際は、目の前の仕事や生活で忙しく、先のことに手をつけられていない人がまだまだ多い気がします。
徳岡晃一郎さん(以下、徳岡) 40代、50代はそもそも、仕事でも家庭でも周りから求められたり、期待されたりすることに応えるので忙しい世代です。だから自分自身の今後について、長期の目線でじっくり考える時間を取れないんですよね。これは本人の問題ではなくて、そういうお年ごろなんです。
皆さんが何にどれくらい時間を割いているかというと、「短期の仕事」、つまり目の前の仕事のことが80%くらいを占めていると思います。そして、今度の週末に何をするかといった「短期の自分」のことで10%。長期的な問題を考える時間は10%しか残っておらず、そのうち自分自身の将来のこと(長期の自分)には4%くらい使っていればいいほうじゃないでしょうか。
―― たったの4%ですか! でも確かに、責任ある立場で仕事をしている人や、今の生活が楽しく充実している人であれば、短期のことに時間を全部使っていても不思議ではないですね。
徳岡 人生100年時代の40代、50代はまだ道の半分のところまで来たにすぎません。でも私たちはそのことが実感としてつかめておらず、100年を生きる人生の見通しについて、まだまだよく分かっていないんですね。なにしろ人間全体にとって超高齢化社会が初めて経験することですから。
もちろん実際には、80歳を過ぎても生き生きと過ごしている先人もいます。でも多くの人は「特別な人の話」として見ている。短期の仕事に大半の時間を使っているということは、似たような人たちの集まりの中で過ごしているので、視野が広がらないんです。
私はミドル世代向けの研修でよくライフチャートを作ってもらうのですが、最近は横軸を100歳まで伸ばしています。そうすると、山あり谷ありのグラフがぐっと圧縮されて、表の右半分が真っ白の状態になります。それを見ると、意外に皆さんはっとしますね。実はこの「はっとする」が大事なのです。