レジリエンスの鍛え方
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6レジリエンスが高い組織の共通点「ブリコラージュ」とは
星野リゾート代表の星野佳路さんは、経営破綻したリゾートホテルや温泉旅館の再生に取り組みつつ、今では42の施設を運営する観光業界のリーダーです。変化が激しい観光業界で、時に逆境をものともせず新しい業態を次々と生み出し、会社を成長させてきた星野さんに、どのようにしてレジリエンスを高めてきたのか、その極意を聞きました。
細かな失敗と、そこからの学びの繰り返しが「経営」だと思います。星野リゾートの社内でも小さな失敗はたくさんあって、そこから学んでいるからこそ、現在に至る成長につながっていると思っています。
今までのビジネスを振り返ると、これといった大きな失敗は思い浮かびませんが、苦労はありました。1991年、私が「星野温泉」の社長に就任した頃の話です。当時は古い温泉旅館で集客力はなく、それ以上にリクルート(求人)力がありませんでした。良い人材に入社してもらうことが、なかなかできなかったのです。良い社員がいないと企業の成長は望めませんから、私の経営人生で最も大変だった時期だと思います。
企業説明会に学生が来なくても、悲観的にならなかった
20年以上前、星野リゾートとして求人雑誌に広告を出して、合同企業説明会に出展しました。そこでカウンターテーブルを出して学生を待っていても、誰も来てくれませんでした。隣にある製造業のブースを見ると、たくさん人が並んでいたので、その人たちに「椅子を貸すから、帰りにちょっと寄ってね」と声をかけるようなときもありました。
ただ、そんな状態でも決して悲観的にはなりませんでした。人気のない業界で仕事をしているので、リクルーティングで苦労するのは当たり前だと思っていましたから。そこで、どうしたら星野リゾートが入社する価値のある企業に見えるのかを、一生懸命考えました。