レジリエンスの鍛え方
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6レジリエンスが高い組織の共通点「ブリコラージュ」とは
「リーマン・ショックでどん底を見た」という人気投資信託「ひふみ」シリーズを運用するレオス・キャピタルワークスの藤野英人社長。「リーマン・ショック後、自社株3240株を1株1円で手放しました。そのときに振り込まれた3240円をATMから引き出し、今でも額に入れて飾ってある。どん底の経験値はなかなかのものです」と言う藤野さん。藤野流レジリエンスでどん底から脱し、大切なものにも気づいたといいます。それはいったい――。
ひふみ投信リリース後に、まさかの激震
私が投資顧問会社を辞め、仲間とレオス・キャピタルワークスを創業したのは、今から17年遡る2003年のこと。「日本の経済を底支えして未来を明るくする、国民的な投資信託をつくりたい」と志し、2008年に「ひふみ投信」をリリースしました。
今でこそ、毎年のように栄えある賞をいただき、たくさんのお客様に応援をいただける投信に成長しましたが、ここに至るまでには失敗や挫折の連続でした。自分で言うのもなんですが、どん底の経験値はなかなかのものです。
先ほど、ひふみ投信が生まれたのは2008年だと述べましたが、ピンと来た方もいるでしょう。販売直後からリーマン・ショックの影響を受け、非常に苦しいスタートとなりました。翌年には私は責任を取るために社長の座を降りて、数千万円の借金も負いました。
「問題を一時的に棚に上げておく」
ゼロどころかマイナスからの仕切り直しとなったわけですが、仲間と一緒にコツコツと地道に自分たちのやるべき仕事を続けてきた結果として今があります。金融業界全体を襲った避けようのない危機という意味では、新型コロナウイルスによる状況に近い部分もあるかもしれません。
あるいは会社を経営していれば(特にその事業が成長し、影響する人の数が増えるほどに)、批判や攻撃的意見にさらされることだってあります。そういったいわゆるハードな局面において、自分をいかに保っていくかという技術については、私はうまく備えているほうだと思います。
例えば、「棚上げ力」。判断に必要な情報を十分に集め、取り得る行動の選択肢をすべて熟考した後は、あえて「問題を一時的に棚に上げておく」という時間をつくるのです。「これ以上、考えたところで状況は変わらない」というときにはサッパリと気分を切り替えて、寝る。きちんと休養をとって、明日に備えるほうが問題解決には役立ちます。