業績が好調なのに早期退職者を募集する企業が増えています。社内評価が高くても、事業転換や人員構成見直しのために退職を促されることが珍しくない時代。主なターゲットは45歳以上のARIA世代です。突然訪れるそのときに会社を去るにせよ残るにせよ、納得いく判断ができる人には、共通して日ごろの備えがありました。取材したARIA世代の実例を基にお伝えします。
のるかそるか、早期退職。~45歳の地図~
のるかそるか、早期退職。~45歳の地図~
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1「黒字企業で評価A」のあなたも早期退職の対象になる訳←今回はココ
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2早期退職した人/40歳で戦略的に製薬→スタートアップ
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3早期退職した人/IT企業で27年 家族を残し語学留学
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4早期退職した人/48歳営業部長が年収維持で中小役員
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5早期退職で残った人/「何を貢献できるか」考え続けた
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6「早期退職のお金不安」損しない知識を専門家が徹底解説
名だたる大手企業が45歳以上の従業員を対象に早期退職優遇制度を実施するケースが増えている。とりわけ最近目立つのは、好業績である企業が人員整理を進めるケースだ。
転職は売り手市場、「将来を見据えて」が企業のキーワード
「企業の間では『将来を見据えて今のうちに』がキーワードになっています」と話すのは、組織・人事のコンサルタントでベクトル取締役副社長の秋山輝之さん。つまり、転職市場が売り手市場で40-50代の人でも次の転職先を見つけやすい今が、早期退職で社外に出てもらうチャンス、と企業は考えているわけだ。
東京商工リサーチの調査では、2019年に早期退職や希望退職を募った東証1部上場企業の数(公表ベース)は、5月半ばで16社と、前年の1年間の12社をすでに上回った。同社が調査を開始した2000年以降、リーマン・ショック後の2009年の191社をピークに実施企業数は減少して2018年の12社は最小数だったが、人手不足といわれる現在、増加に転じたのは見逃せない。
早期退職が一般的になってきたとはいえ、自分が働く業界だけは、自分の勤め先だけは、もしくは高い評価をもらっている自分だけは大丈夫――。そんな考えは甘いかもしれない。
秋山さんによると、評価の高い人でも早期退職の対象になるという。そして、一度声がかかったら3カ月程度で人生を左右する決断をしなければならない。その短期間で、納得のいく選択ができる人とできない人の違いは何か? 次ページから、ARIA世代にこそ重要な早期退職対策の「4つの備え」を解説していく。