あたらしい教養力 知ってるよりも“使える”が大事
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2019年4月、41歳でマネックス証券の代表取締役社長に就任した清明祐子さん。創業者でカリスマ的な経営者の松本大さんから引き継ぎ、超多忙な日々を送りながら、仕事は基本18時まで。登山、マラソン、ワイン、乗馬etc.とプライベートのインプットの時間をないがしろにはしていません。「自分と違うなと認識したときに、それに興味を持てるかどうかが大事」という清明さんが考える、今の時代に必要な教養とは? そして「物知りな人」で終わらないために意識していることとは?
人から言われる「これ、いいよ」が道を開く
編集部(以下、略) 今や、聞きなれないマーケティング用語にぶつかっても、何食わぬ顔でそっとスマホで調べられます。「知っている」ことの価値が揺らいでいると感じるのですが、教養はどんなものだと思いますか?
清明祐子さん(以下、清明) 正直、今回インタビューのお題をいただいて、「教養がテーマで、私に取材されるのですか」と思いました。読書家ではないですし、そもそも私は「座右の書は何ですか」と聞かれると一番困ってしまうタイプなので。
改めて教養って何だろうと、ウィキペディアで調べたんですが(笑)、「個人の人格や学習に結びついた知識や行いのこと」と書いてあり、なるほど、と思いました。人格形成につながるベースをどこから培っているかについてお答えすると、私は「人」なんです。本を読んだり何かを学んだりして一人で思考を巡らせるより、人の行動や発言に興味があって、いろんな人と話をしながら知識を積み上げ、時に運動もしながら、自分の頭の中を整理するほうが向いています。
趣味の山登りも走ることも、人から言われた「これ、いいよ」がきっかけです。未知のものには積極的で、やってみないと分からないからまずやってみる。下手ですが乗馬もやっています。ある方から「乗馬はいいよ、ゴルフよりも経営を考える上で近いものがある」とお聞きして、じゃあやってみようと始めました。いまだにその発言の真意は分からないのですが、いつかハッと気づくことがあるかもしれませんし、あるいはやってみた後であれば、その方に改めてお聞きすることもできます。トライもせずに「なぜゴルフより近いと思うのですか」と聞くのは違うかなと思うのです。
―― 本を読んで、仕事に役立てることはありませんか?
清明 ビジネス書や自己啓発本は読まないですね。もちろん、人から「この本いいよ」と言われたものは読みます。読んでみていいなと思うことがあればプラスですし、何も思わなければそれはそれで自分自身についての発見になりますので。ただ、本を読むことが仕事にそのまま生きるかというと、どうでしょうか。うまくいきそうだと想像することと、実際に行動することとはずいぶん差があって、理解しても同じようにできるわけではないと思っています。