50代キャリアの輝かせ方 ~40代から始めるべきこと~
-
150代の会社員生活は「停滞」ではなく「学びの宝庫」
-
2TBSで定年目前 54歳での異動も退職しなかった理由
-
345歳で「定年後」に備え大手金融を退社 損得勘定は?
-
4プロボノ、学び直しを経て54歳で東急退社を決めた理由
-
550代転職はコロナで様変わり 定年後に向けどう動く?←今回はココ
組織を飛び出して40代とは違う形のキャリアを構築するか、定年後再雇用を視野に入れて勤め上げるか――これまで本特集で紹介してきた3人の女性たちが歩んできた道。少し視野を広げて人材市場を見てみると、現状はどうなっているのでしょうか。
「50代の人材マーケットははっきりと二極化している」「再雇用にマッチする人には共通点がある」というのは、組織・人事コンサルタントとしてあらゆる業種の人事・給与制度の設計に携わり、現在はフォーラムエンジニアリングの常務を務める秋山輝之さん。コロナ禍における状況の変化も踏まえて聞きました。
横行した「黒字リストラ」…新型コロナで一旦停止
―― 「50代以降のキャリアが見えない」という女性たちの声を多く聞きます。いずれ50代のキャリアを考える企画を展開しようと考えていたところに、新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の危機が日本中を襲いました。このコロナ禍は、企業のリストラなど、ミドル層のキャリアにどんな影響をもたらすと考えられますか?
秋山輝之さん(以下、敬称略) ここ3年ほど、ミドル層における人材戦略のキーワードは「黒字リストラ」でした。バブル世代が突出して多く、世代構成がいびつな企業が多い。そこへ国が定年延長ルールを推し進めているので、「60歳まではいいけれど、このまま65歳、70歳までいられては困る、早いうちに辞めてほしい」と考えて、50代が対象となる希望退職や早期退職を募集する企業は非常に多かった。ですが、この新型コロナ騒動によって様相は一変しています。
2020年6月の経営計画発表時に、大規模なリストラ方針を打ち出す予定だった複数の大手企業が、暗に実施を取りやめました。いずれも皆さんがご存じの大企業です。経済の先行きが不透明なため、リストラをするにしても1000人なのか1500人が妥当なのか判断がつかない。多くの企業の人事政策は、今は思考停止の状態です。加えて、この状況下で大規模なリストラを行うのは世間からバッシングを受ける可能性があり、動きが取りづらいのでしょう。
今、リストラを断行しているのは「本当の意味で」経営が行き詰まっている企業だけでしょう。これが一時的な延期なのか中止なのかはまだ判断がつきません。今後1年間は様子見になるのではないでしょうか。
「50代」で転職はできますか?
―― そもそも、50代は人材マーケットでニーズがあるのでしょうか?
秋山 コロナ禍以前から、50代の人材マーケットははっきりと二極化しています。まずは、スキルのある人は奪い合い。プロフェッショナル人材は大手から大手へも転職していますし、大手から中小企業、ベンチャーへ転職といった流れもあります。
一方で未経験な分野への転職の場合はほとんど求人がありません。そして、このコロナ禍で人材マーケットに大きく2つの変化が起きました。1つは経済の先行きが不透明になったため、人材を増やそうと考えている企業が少なくなったこと。もう1つは、リモートワーク環境になり、人材育成が非常に難しくなったことです。職場で顔と顔を合わせて人を育てることができませんから。結果、「即戦力の求人」か「猫の手でも借りたい」という逼迫した求人しか今はない状況です。
―― コロナ禍の有無に関わらず、はっきり言うと確固たるスキルや専門性がないと50代の転職は難しいということですね。