40歳からの成功する転職
転職を考えたときに真っ先に気になるのが「企業が『本当に』40代以降の女性を求めているのか?」という点だろう。まずは、正社員の転職マーケットで日本最大級のシェアを持つリクルートキャリアのHR統括編集長・藤井薫さんに、40代以降女性の転職事情について聞いた。
「35歳転職限界説は、昔の話」は本当ですか?
―― 「35歳転職限界説は崩壊した」という声がちらほら聞こえてはいますが、なかなかそんな実感はなく、「本当なの?」と思ってしまいます。実際に「40代女性の転職数」は増えているのでしょうか、それとも減っているのでしょうか。
藤井薫さん(以下、敬称略) このグラフを見てください。40代女性の転職決定者数は、ものすごい勢いで伸びています。青線は全年代の男女、赤線が40代女性の数値で、2009~2013年の平均を1としたときのその後の伸び率を示しています。2018年の数字を見ると、全年代の男女が2.41倍なのに対して、40代女性の転職者数は、もともとの分母数が少なかったというのが大きいものの7.07倍。2019年は、さらに伸びている印象です。
―― 40代女性の転職決定数が伸びている背景には、なにがあるのでしょうか。
藤井 2008年にリーマン・ショックが起きて世界同時不況に突入し、業績不透明になったことから多くの企業は一気に採用を控えました。ただし、翌年の2009年から企業の求人意欲は次第に旺盛になり、右肩上がりで求人数が伸びています。じわじわと売り手市場が構成されていることから、私たちは「働き方の主権が個人に移動した」と言っています。企業における中途採用の求人意欲はGDPと同じように伸びる傾向です。景気は上向く一方で、人口構造が変わって就労人口が減っているため、人が量的に足りないのです。
「変革の時代」に白羽の矢が立つのは転職者
加えて、今はどの企業もビジネスモデルの大幅な転換など、変革が求められています。異業界にいる人を採用したほうが、変革を推進できる可能性が高まるという背景があるのです。既存の枠組みでは利益が出ない状況下で、例えば、これまでは店頭販売しかしなかった化粧品企業がオンライン市場に打って出る、電機メーカーが家電ではなく「家電のある暮らしを提案するサービス」を生み出そうとするなど、既存の事業以外にも挑戦をしないと生き残れなくなった。企業にとって「既存の人」に当てはまらない、転職市場の人材に白羽の矢が立つのは自然な流れです。
このように質・量ともに人材不足の今は、40代以降にもチャンスが広がっていると言えるでしょう。さらに、これまでの中途採用と言えば「穴埋め募集」の意味合いが強かった。ですが、今後はそうではない、既存の事業の枠組みを超えて提案ができるような、経験値が高い40代以降へのニーズはますます高まると感じています。
―― 40代以降の女性たちは、実際にどのような転職をする人が多いのでしょうか。