60歳過ぎても働く そのために今からできること
18歳のときに母親が突然倒れて寝たきりになり、短大卒業後は広告営業をしながら、仕事と介護の両立をしてきた中村実紀さん(44歳)。介護生活の中で感じた「罪悪感」と「東日本大震災」がきっかけで会社を退職し、35歳のときに地元・群馬で手作り生パスタの製造販売を開始した彼女に、起業の理由や商売を軌道に乗せるまでの紆余曲折(うよきょくせつ)、やりがいを持ちながら長く働き続ける秘訣などを聞きました。
18歳から母の介護、仕事と両立するため営業職に
編集部(以下、略) 18歳から母親の介護をされてきたそうですが、営業職に就いたのは仕事と介護を両立させるためですか?
中村実紀さん(以下、中村) はい。営業職は比較的、時間の調整がしやすい仕事だったからです。平日の日中に母を自宅から病院まで連れて行く必要があったので、時間の融通が利きやすい仕事であることと、介護の事情を理解してくれる会社という条件で仕事を選び、広告営業の職に就きました。
―― 介護は、他の家族と協力して行っていたのですか?
中村 小学生のときに父が他界しているので、最初は祖母と2人で。20代半ばで祖母が亡くなってからは、日中はデイサービス(通所介護)を利用しながら1人で介護をしていました。ただ、孤軍奮闘していたわけではなく、デイサービスの人たちは家族のように親身になってくれましたし、近所の人や友人にも支えられながら、仕事と介護を両立していましたね。
―― 会社を辞めて起業したきっかけは、介護をする中で感じた「罪悪感」だったそうですが、一体何があったのでしょうか?