「逆境」が後押しした キャリアの転機
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終身雇用も過去の話となりつつあり、自分のキャリアは自分でデザインしなければならない時代。可能性を広げるために副業(複業)をしたいと考える人も。それを認める会社も増えている。
そんな中、オンラインショッピング事業やプロと企業をつなぐマッチング事業などを行うエンファクトリーは、2011年の創業時から複業を認めるだけではなく「専業禁止」を掲げているというユニークな会社。今や社員の約6割が複業をしているという。その一人、吉本和美さん(40歳)は2年半前に入社して、現在は専門的な知識を持つプロと企業とをつなぐプロマッチングの仕事をしている。2021年の8月から複業をスタート。収入が増えただけでなく、思いがけない喜びも得られたという。
専業禁止の会社に転職しても、複業するつもりはなかった
編集部(以下、略) 吉本さんがエンファクトリーに入社したときの志望動機に、「専業禁止」も含まれていたのでしょうか?
吉本和美さん(以下、吉本) 「専業禁止」というのは面白いな、とは思いましたが、複業は他人事で、自分がするとは予想すらしていませんでした。主な志望動機は息子が当時まだ1歳で、ワークライフバランスを重視して働きたいという思いと、前職のマーケティングや企画の経験も生かせそう、ということでした。
―― その他人事だった複業が自分事に変わったきっかけとは?
吉本 転機になったのは2020年の秋、キャリアコンサルタントの資格取得を目指して勉強を始めたことでした。当時、カウンセラーによるオンライン相談事業に関わっていて、カウンセラーの業務サポートやより成果を上げるための提案などの仕事をしていました。自分自身もカウンセリングの知識を高め、より専門的なサポートをしたいと思ったことからキャリコンの資格を取りたいと考えるようになりました。
国家資格のためオンライン学習と合わせて、週1で通学もし、妊娠、出産、育児という家庭中心の生活から一変して、久しぶりに自分のためだけに使える時間を過ごしました。
試験は2021年8月に受けて、実技はパスしましたが学科は落ちたので、勉強は続行中です。その試験の結果が出たとき、前職の先輩で、「九州のムラ」という九州地域のグリーンツーリズムを含めた環境・地域づくりを推進する一般社団法人に転職した人から、「複業をやってみないか」と声をかけてもらったんです。
仕事内容は、ブログページの制作や資料の作成、ウェブページの制作で、「ぜひやってみたいです!」と即答しました。前職や現在の本業で得た知識や技術でできることだから、というだけではなく、キャリコンの勉強をしているうちに自分自身のキャリアに対する考え方も変わって、チャンスはどんどんものにしていこう、と思うようになったからでした。